「賃貸VS持ち家」どちらが本当にお得か計算してみた

前回の記事では定性的な「賃貸VS持ち家」議論について紹介しましたが、今回は具体的な数字でどちらにお得感があるのか確認したいと思います。結論は定性的な議論ですでに出ていますが、定量的にどの程度の違いが出てくるのかチェックしてみましょう。

賃貸と持ち家のキャッシュフロー/ストック比較

今回は、賃貸で10年住んだ場合と持ち家(今回は中古マンションを想定)で10年住んだ場合とでどの程度キャッシュフロー/ストックに差があるのか確認したいと思います。

サンプルは家賃13万円の西荻窪の物件

今回、記事を書いていたタイミングで販売されていたこちらの物件をチョイス。家賃は12.9万円設定ということですが、計算上13万円として考えたいと思います。中古マンションも同時期に販売されているため、比較がしやすいということからチョイスしました。

場所は西荻窪のマンションとしていますが、あくまでキャッシュフローと資産価値の比較であるため、西荻窪であるかどうかは全く関係ありません。あしからず。

賃貸派は10年間で1,690万円の出費

出費は家賃と更新料の合計額

賃貸サイドは計算が簡単ですね。2年に1度、更新料の支払いということで、2ヶ月分の支払いを加算すると、10年間での出費は

  • 家賃10年分(120ヶ月分)
  • 更新料5回分(10ヶ月分)

家賃は1ヶ月13万円とすると、およそ13万円*(120ヶ月+10ヶ月)=1,690万円となります。あくまで「引越をせず、同じ物件に住み続ける」という前提ですが、これが賃貸派住居コストの目安になります。

家賃13万円だと都内利便性高いエリアなら1LDKあたりが限界?

立地条件をどこまで許容するのか、という問題は出てきてしまいますが、都内で家賃13万円という制限で検索した場合、山手線最寄りの駅で物件を探そうとすると、1Rや1Kタイプの部屋ばかりとなってしまいます。

シングル世帯ならまだしも、DINKS世帯や子供ができた場合などは立地条件や築年数を多少悪くしてでも、広さを確保できるエリアへ移動するか、そもそもの家賃を上げるしかありません。

もちろん賃貸物件の特性上、2LDK以上の部屋というものは絶対数が少なくライフステージによって選択肢が狭まるというデメリットがある点には注意が必要です。

購入派は10年間で1,512万円+124~224万円の出費

完璧に同じ物件は存在しない

SUUMOに載っている住宅の販売価格は3,920万円となっています。しかしながら、賃貸で出されている部屋と分譲として出されている部屋では、設備類は同じかもしれませんが、まず部屋の広さが元々異なります。

細かい点を他に言うと、方位は同じ「東」でも正確に同じ東側かどうかはわかりませんし、階数が異なるはずであるため、その分マンション価格は変動することとなります。ただし、これらの影響は全体に比して軽微な額と思われるため、今回は割愛して話を勧めます。

※タワーマンションなんかだと、2階の部屋と30階の部屋では同じ広さかつ同じ部屋の構造であっても、明らかに30階の方が値段が高くなります。ざっとの計算ですが、1,500万円程度の価格差が生じても何らおかしくはないでしょう。あくまで低層マンションという条件で今回は話を進めたいと思います。

㎡単価で不動産価格を補正すると3,920万円→3,200万円

3,920万円を㎡単価(73.73万円)で補正すると、およそ賃貸に出されている部屋の金額は約3,200万円となります。こちらの金額で検証をしてみましょう。

購入時諸経費は不動産価格の4~7%(128~224万円)

新築か中古か、戸建てかマンションかで諸経費の水準は異なりますが、一般的な中古マンションのケースだと不動産価格の4~7%の諸経費がかかる、と言われています。

この諸経費には印紙代や金融機関の事務手数料、不動産仲介業者の仲介手数料など様々な項目があり、それらすべてをトータルした場合の金額となります。

不動産価格が3,200万円の設定であるため、今回はその4~7%相当額である128~224万円が諸経費として掛かる見込みです。

毎月支払額は126,000円と賃貸派より微減?

頭金なし、利率1.0%、借入期間は住宅ローンの最長期間である35年として3,200万円を借りたとすると、毎月返済額は約9万円ほどで済みます。ここに管理費、修繕積立金の支払いが加わります。

また、不動産購入の場合は固定資産税も支払う必要が出てきます。賃貸側の1LDKの部屋の管理費、修繕積立金の額は公開されていないため、こちらのサイト(マンションレビュー)をもとに設定してみました。

  • 管理費 8,400円/月
  • 修繕積立金 17,600円/月
  • 固定資産税 10,000円/月(簡便的に年間12万円)

月々のキャッシュフローは、合計で126,000円となります。固定資産税は毎月の支払いではありませんが、月単位で比較するため12等分して含めています。10年間だと1,512万円となりますね。

キャッシュフローで見た場合、どちらが高いかは判断できない

月々のキャッシュフローは、

  • 賃貸の場合:10年間で1,690万円
  • 購入の場合:10年間で1,512万円+124~224万円

となり、かなり拮抗した水準となっています。これはすなわち、賃貸も購入もキャッシュフローで考えると大差ない、と結論づけることはできるのでしょうか?・・・残念ながら、そう簡単に言えるようなものではないようです。

更新料の有無で結果は変化する

賃貸が1,690万円と購入時の下限金額より金額が高いですが、更新料の水準/有無次第で1,500万円程度まで下がる可能性もあり、これだけで賃貸が不利とは言えなさそうです。

管理費・修繕積立金・金利等の水準で結果はさらに変化する

購入側の計算では、管理費・修繕積立金・固定資産税を概算で算出している点や金利を1.0%で算出しているため、賃貸/購入の方が必ずしも有利と言うのは難しいでしょう。

共用施設が多いマンションであれば、管理費は高くなります。築年数が古いマンションであれば修繕積立金の額は高めに設定することとなります。

また、(細かい計算は数字をイメージすれば感覚的にわかると思いますため省略しますが)金利水準は低ければ低い程、購入派にとって有利な結果となります。

頭金の金額で金利負担額が変化する

不動産購入時には頭金を入れるのが一般的です。昔は不動産価格の2割を頭金で用意する、なんて話が常識のように言われていました。ただ、最近では頭金を入れずに不動産価格をすべてローンでまかなうフルローンで購入する方も増えてきている、と聞きます。

フルローンで購入する場合と頭金を一定額入れて購入する場合とでは、金利負担額が変わってくるため、明らかに頭金を入れた方が年間コストは下がる傾向となります。

今回の例でも、頭金を多めに入れられるのであれば、(金利負担額が減少するため)不動産購入派の方がより有利な結果が出てくるでしょう。

住宅ローン控除/すまい給付金で購入側が若干お得

住宅ローン控除が適用できる物件であれば、新築なら10年間で最大400万円、中古なら最大200万円まで減額できます。減税まで考慮すると、購入派に有利なケースはやや多くなるかもしれません。

また、すまい給付金を活用できる人であれば、住宅購入の方がお得となるケースも多くなるでしょう。こちらは年収等の要件があるため、全員が適用できる制度ではないですが、受け取れる方にとっては非常に嬉しい制度となります。

10年後の資産額はどうなるのか

賃貸派は家賃を払うことで、10年後に何か資産形成できる訳ではありません。購入派の場合、住宅ローンという借金が残りますが、それと同時に不動産という資産も合わせて残ります。

住宅ローンは10年後 約2,200万円残っている

月々の住宅ローン返済額に充てられる金額を9万円とすると、10年後の住宅ローン残債額は約2,400万円になります。住宅ローンの計算自体はいろいろなサイトが公開していますが、将来時点の残債額を確認したい場合にはこちらのサイト(イー・ローン)などを活用してみると良いでしょう。

今回のケースでは、10年間で800万円ほどローンを返済できることになります。

不動産価格は毎年2%の下落で約2,560万円

一方で、3,200万円で購入したマンションの資産価値は10年後どうなっているでしょうか。

新築ではないため、比較的緩やかな下落となることが予想されますが、マンションの資産価値下落率を「2%*経過年数」として約20%下落したと計算すると、10年後のマンションの価格は約2,560万円となります。

10年後に160万円の含み益を得ることができる

このケースでは、住宅ローン残債額が2,400万円であり、マンションの資産価値が2,560万円であるため、10年後は160万円の含み益がある状態になると言えますね。

2,560万円ー2,400万円=160万円の含み益

賃貸では10年住んだところで何か残る訳ではないので、購入側の方が160万円有利となる計算となりました。

ただし、この160万円の含み益はあくまで”含み益”であり、不動産を売却しない限り活用できない点には注意が必要です。

計算上の問題点が多数ある点に注意

今回の計算ではいくつか問題点があります。

  • マンションの資産価値下落率は築年数、地域、突発的な災害などにより2%以上となることがある(逆に資産性が高い物件の場合、資産価値が上昇していくものもある)
  • 10年後に売れる保証がある訳ではない(不動産買い取り業者がいるものの、ほぼ底値で買い叩かれるのが通常)
  • 購入時、売却時には諸経費(建物価格の4~7%)がかかるため、諸経費を加味すると損するケースも多い
  • 金利が変動した場合、返済計画どおりに債務が減らない可能性も

今時点で賃貸/購入がお得であると言うことができたとしても、社会経済情勢の変化により、その状況は一変する可能性が大いにあります。

まとめ:資産性の高い物件=購入、そうでなければ賃貸

問題は「資産価値の変動」と「金利の変動」

あまり参考にならないまとめとなってしまっていますが、購入派に付きまとう問題は大きく分けると、「資産価値の変動」と「金利の変動」となります。

資産価値が高い物件を購入することができれば、将来的な売却価格も高くなる/スムーズに売却しやすくなることは明白ですし、経済状況によっては数年住んだ後にもかかわらず、買い値以上の金額で売れて売却益を得ることができたりもします。

また、金利の水準は一般的に低ければ低いほど購入派が有利な状況となります。金利が低ければ、総支払額は低く抑えることができますし、月々の負担額も減らすことができ、購入派にとって好都合なことは間違いありません。頭金を一定額入れる理由もここにあります。

諸経費があるため、短期スパンでの売買は圧倒的不利

ただ、そうは言っても短期的なスパン(5年前後)で考えると、諸経費分(不動産価格の4~7%)の影響もあり、不動産購入にはデメリットが目立つこととなります。そのため短期スパンに限定して考えると、相対的に”賃貸で暮らすこと”の方がメリットの大きい選択肢になると言えるでしょう。

たった5年前後で住み替えを繰り返した場合、資産価値のある良い物件であったとしても、買い替えコストが膨らんで結局損をする可能性が高くなります。また、地価下落の著しい過疎化地域や10年以上の滞在が見込まれない地域での居住であれば尚更”賃貸で暮らす”方が有利となるでしょう。

今回のケースでも前提条件の設定次第でいかようにも結果がかわる話となりました。ただ、それらを踏まえて考えると、

  • 資産価値が落ちない物件を購入できるか
  • 金利の低い状態(低いタイミング)で借入ができるか
  • いかに長期間住むことができるか

という点が大きなポイントとなるのではないでしょうか。以上、ご参考まで。

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