私のお気に入りの国内ミステリー小説をここではまとめておきます。完全な備忘録としての記事です。参考になるかはわかりませんが、いずれも名作と言える作品ばかりのため、他の方にも”ぜひ”とお勧めできるものばかりなのですが、いかんせん私の好みが強く入っているため、「〇〇ミステリーランキング」のような客観性はないかと思います。また、順序も私の好みでの順序で記載しており、シリーズ順序などは無視して記載していますので、参考程度に見ていただければ。
目次
お気に入りの国内ミステリー小説
『殺戮にいたる病』我孫子武丸
狂った殺人鬼が真実の愛を探して彷徨う話なのですが、内容はグロい、かつ陰惨な描写があります。殺人鬼の思考も常軌を逸しています。ただ、結末に辿り着いたときの衝撃たるや、この作品を越えるものはなかなかありません。ジャンル的には推理小説・探偵小説ではなく、サイコホラー・スリラー的な小説に分類されるのだと思います。万人にはお勧めしづらいですが、私のお気に入りの一作です。
『ハサミ男』殊能将之
本作は「メフィスト賞」(第13回・1999年)、「このミステリーがすごい!」(宝島社・1999年)第9位を獲得していること、また映画化もされており話題作であることは間違いありませんが、小説を読んだ際のインパクトの大きさは並々ならぬものがあり、読者の感想から人気が広がっていった作品でもあります。
主人公は連続猟奇殺人犯、通称「ハサミ男」と呼ばれる人物の視点と、「ハサミ男」を追う警察の新人刑事・磯部からの視点で物語は進んでいきます。ハサミ男は次の殺害のターゲットを見つけ、殺そうとした矢先、そのターゲットは何者かに殺されてしまうのですが、その殺害方法がハサミ男のそれと酷似している、というところから事件は動き出します。
ハマるかハマらないかは人次第ですが、この衝撃の展開に私は完全にハマってしまいました。お気に入りの一作です。
『満願』米澤穂信
米澤穂信が描く短編集。どの話もその結末には暗く淀んだものがあり、本作品が描く世界観は秀逸かつ暗澹。ただ、その世界観や読んで厭になるミステリとしては至高とも言える素晴らしい作品。数々の賞を獲得(以下参照)しており、極めて高い評価を受けているのも事実ですが、すべての読者にお勧めできるかというと話は別ですね。受け入れる覚悟をした上でぜひ手に取っていただきたいなと思います。
- 第27回 山本周五郎賞受賞
- 第151回 直木三十五賞候補
- ミステリが読みたい! 2015年版 国内編 1位
- 週刊文春ミステリーベスト10 2014 国内部門 1位
- このミステリーがすごい! 2015年版 国内編 1位
- 本格ミステリ・ベスト10 2015年版 国内部門 2位
- 第12回 本屋大賞 7位
『告白』湊かなえ
イヤミス界の代表作・傑作とされる本作。「読んで厭になるミステリー」という何ともおかしなジャンルですが、今では確固たる地位を確立していることもあり、この「読んで厭になる」という感覚が世間に広く認知され一定の人気を獲得しているのは興味深いですね。そして、私もイヤミス系の小説は結構好きだったりします。中毒性があるというわけではないですが、世の中なんでもハッピーエンドというほど綺麗ではない現実を否応にも感じさせる稀有な存在だからかもしれません。
小説としては極めて優れていて、本当によく推敲されているなと感じます。内容に目を惹きがちですが、文章表現や構成方法についても私は素晴らしいなと思う作品です。
- 第4位 このミステリーがすごい!(2009年・国内編)
- 第1位 週刊文春ミステリーベスト10(2008年・国内編)
- 第3位 ミステリが読みたい!(2009年・国内編)
- 大賞受賞 本屋大賞(2009年)
受賞歴を見てもミステリとしての評価はもちろんですが、何より全ジャンルで評価される本屋大賞で大賞を受賞している点が本当にすごいですね。もちろん本作品の好き嫌いは大いに分かれるものでありますし、映画化もされているため映像から入った方だと印象はだいぶ変わるかもしれません。とはいえ、本作品の映画はこれまた別の意味で極めてよくできているため、私は好きな作品となっています。
『十角館の殺人』綾辻行人
ミステリー界隈の中では非常に有名な作品なのだと思います。1987年に刊行され、当時はとんでもない衝撃を放ったのではないでしょうか。色々な読書家(特にミステリー好き)の人の意見を聞いても、「この本でミステリーにドハマりした」という声を複数聞くくらい、多くの方に読まれています。ということもあり、まだ読んでいないのであればとりあえず事前情報なしで読むことを強くお勧めします。
2023年現在の視点で見ると、決して驚くものではなくなってきた感は若干あります。この作品にインスパイアされた類似作品は複数出ており、それだけミステリ界隈に強く影響を与えており、その驚愕させられるトリックは様々なところに模倣される結果となったのかと。ただ、当時はとんでもない衝撃だったんじゃないかなぁとも感じます。
『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信
米澤穂信の短編集。読んだ後の厭な感じをしっかりと味わえるすばらしい作品。どの短編も最後心にグサッと刺さるような読後感があり、総毛立つ感覚を味わえるかと思います。こういう類が好きな人が多いのか、というと疑問が湧きますが、中毒性の高いものもあり、イヤミスの傑作として手に取ってみることをお勧めします。もちろん覚悟を持って臨んでいただければ。
ちなみに、本作は「ミステリが読みたい(2010年・7位)」にランクインしています。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼
完全にハマった・ハメられた作品と評していいのでしょうか。こういうタイプの作品に出合ったのは初めてだったので、なかなかの衝撃でしたね。個人的な意見となりますが、最も衝撃を受けるためには少々ミステリー小説に慣れていないと味わえないのかな?と感じてしまう部分があり、もしかすると読後の感想が二分してしまうかもしれません。特に、あまり読み慣れていない方は伏線の意味するところをうまくキャッチできないかもと思います。
とはいえ、本作品が獲得した賞の数(以下5つ)は目を見張るものがあります。未読の方にはぜひ読んでほしい一作です。
- このミステリーがすごい! 2020年版(国内編)1位
- 2020本格ミステリ・ベスト10 1位
- 2019年SRの会ミステリーベスト10 1位
- 第20回本格ミステリ大賞 大賞
- 2019年ベストブック 選出
『「アリス・ミラー城」殺人事件』北山猛邦
ある種の問題作である『「アリス・ミラー城」殺人事件』。「アリス・ミラー」と呼ばれる鏡捜しのために、とある孤島に集められた探偵達が次々に殺されていく作品。アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品であり、超名作の海外古典との違いを楽しみながら読むことができると思います。
本作品の何がすごいのかはもう読まないとわかりません!結末まで読んで初めて「ナンダッテー!?」となるのか「ナンノコトジャー!?」のような感想になる方も多数おり、あれこれとその後本作品の内容が波紋を呼びました。
2003年に出稿された本作品。当時は宮部みゆき『模倣犯』や横山秀夫『半落ち』などが話題となっていた時期となります。20年前の作品にもかかわらず、古臭さは感じられません。むしろ絶望的な展開にしびれ狂った展開を楽しむ作品のようにも感じます。
『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
非常にお勧めです!(後日、追記予定)
『仮面山荘殺人事件』東野圭吾
1990年12月に刊行された今では超有名作家である東野圭吾によるミステリー小説となります。多くの方は『手紙』『秘密』『容疑者Xの献身』などの超有名作品の方で知っているかと思います。
本作品はタイトルにもあるとおり、とある山荘に主人公が色々な経緯で行くことになるのですが、宿泊中の山荘に強盗が現れるというとんでもないトラブルが発生します。山荘の宿泊者全員が強盗らに拘束される中、なんと殺人事件が起きてしまいます。いやはやどうなってしまうのでしょうか・・・。
この頃のミステリー小説というのは、ある程度コンパクトながらしっくり来る綺麗さがあって、私は好きな時代なんですよね。今読んでも、そのプロットの綺麗さには本当驚かせられます。
『魍魎の匣』京極夏彦
もうわけがわからないカオスな作品『魍魎の匣』。万人お勧めできるかはわかりませんが、私好みの作品であることは間違いありません。もちろんもし手に取るのであれば、まずは第1作である『姑獲鳥の夏』を読んでからでないと、勿体ないですね。話は連続している訳ではありませんが、登場人物の関係性などを考えると、よりしっくり頭の中に入ってくることは間違いありません。
本作品は1995年1月に発表されたようで、今からおよそ30年前と言って問題ないでしょう。今でこそ多重トリックものなんかは受け入れられるようになりましたが、この世界観と奇怪な事件と事件と事件が絡みに絡み合ったカオスな世界を当時受け入れられた読者はどの程度いたのでしょうか。明らかに時代の先を行きすぎていたと感じるほど、恐ろしい世界の作品だと読んだ後に思い至りました。
- 第9位 東西ミステリーベスト100(2012年版・国内編)
- 第4位 このミステリーがすごい!(1996年・国内編)
- 第4位 週刊ミステリーベスト10(1995年・国内編)
- 日本推理作家協会賞(1996年・長編部門)
個人的に「東西ミステリーベスト100」のトップ10に入るってのはものすごいことだと思うんですよね。1000ページを超えるボリュームにも関わらず、それを読ませてしまい、なおかつ多くの人に衝撃という衝撃をトラウマのように刻み込んだ作品というだけあり、本当に長きに愛されるすばらしい作品なのだと。ぜひ未読の方は頑張って読んでみて、「自分にはちょっと・・・」となるか「やばい、ハマる!」のどちらなのか感想を教えてほしいですね。
『王とサーカス』米澤穂信
報道倫理・職業倫理を表のテーマとした、ネパールが舞台のミステリー小説。お勧めです。(後日追記予定)
『姑獲鳥の夏』京極夏彦
読んでいるうちに頭の中がどうにかなってしまいそうな作品『姑獲鳥の夏』。読み進めるほど混乱していき、何を読んでいるのかわからなくなる不思議で狂気に満ちた作品と言えます。ミステリーなのか、ホラーなのか、判断付かぬジャンルに位置する気がしますが、私はすごくハマりました。
「姑獲鳥」の読みは「こかくちょう」とも読めるのですが、本作品は「うぶめ」と読みます。もちろん本編にてその呼び名に纏わる話も入っているのでご安心を。本作品は「百鬼夜行」シリーズの第1作にあたる作品。これにハマってしまったら次作も読まざるを得なくなります笑。
さて、尖りに尖った本作品。刊行当時の評価もなかなか見事なもので調べたところ以下のような賞を取っていました。
- 第23位 東西ミステリーベスト100(2012年版・国内編)
- 第7位 このミステリーがすごい!(1995年・国内編)
- 第7位 週刊文春ミステリーベスト10(1994年・国内編)
本作品は京極夏彦氏がまだデザイン会社に勤務していたころ、暇なときに書いた作品のようで、デビュー作とは思えない末恐ろしいものを感じさせます。そして、2022年現在京極夏彦氏は日本推理作家協会代表理事を務めるミステリー界の重鎮にまで上り詰めているという・・・なんともすごいきっかけとなった作品です。
『すべてがFになる』森博嗣
非常にお勧めです!(後日、追記予定)
『クリムゾンの迷宮』貴志祐介
サバイバルホラーの傑作。お勧めです。(後日追記予定)
『双頭の悪魔』有栖川有栖
『双頭の悪魔』は「学生アリスシリーズ」の3作目にあたる作品となります。本作品は1992年に発表された作品で、以下のとおり数々の高い評価を得ています。
- 「週刊文春ミステリーベスト10」(1992年)第4位
- 「このミステリーがすごい!」(1993年)第6位
- 「20世紀傑作ミステリーベスト10」19位
- 「このミステリーがすごい! ベスト・オブ・ベスト」8位
- 「東西ミステリーベスト100」2012年版国内編22位
1992年と2012年で20年ほど離れているのですが、20年経った後でも高い評価を得ていますし、2022年の今読んだとしてもその内容には驚かされる方が多数いるのではないかと思います。
部外者を拒む木更村と川を挟んだ夏森村でほぼ同時期に起きた殺人事件、そして大雨により2つの村をつなぐ橋が崩壊。クローズドな状況で生じた不可解な事件の数々。ミステリー好きなら読まないと損と言える作品です。
『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午
各方面で極めて高い評価をされている本作品。何がすごいかってほぼ何も書けないから難しいんですよね笑。
- 第57回日本推理作家協会賞受賞
- 第4回本格ミステリ大賞受賞
- 第1位 このミステリーがすごい! 2004年版
- 第1位 本格ミステリベスト10 2004年版
- 第2位 週刊文春 推理小説ベスト10 2003年度
2004年の賞を総なめした本作品。すでに刊行から15年以上が経過しており、様々な人がお勧めしていますが、やはり注目度の分、あーだこーだと評価が分かれる面もあるようです。
私は日ごろから思うんですが、未読のときにネタバレするってすごい勿体ないんですよね。この作品は特にそう思います。あまりに有名でどこかで偶然ネタバレを知ってしまう位であれば、真っ先に読むことをお勧めします。
『Another』綾辻行人
ホラー系ミステリ。学校の怪談的な不可思議な事件が起こる中、物語の真相には驚愕させられます。(後日追記予定)
『そして扉は閉ざされた』岡嶋二人
岡嶋二人氏(コンビ名)の代表作の一つに挙げられる本作品。だいぶ古い作品なのですが、刊行当時「このミステリーがすごい!」(1988年・国内編第6位)を獲得しています。核シェルターに閉じこめられた男女4人が、事故で死んだと思われた咲子の死因について推理をしていく本作。全く感情移入ができない個性トゲトゲな登場人物ばかりですが、どんどん先に読ませてしまう展開には目が離せません。
島田荘司氏の解説にて「四人のうちに確実に犯人が存在するのだが、同時に、存在しないという不可解な事実である。」と評される本作。今読んでも非常に面白く傑作と言えるのではないでしょうか。未読の方はぜひ。
『迷路館の殺人』綾辻行人
館シリーズの中でも中々にエグイ館で殺人事件が起こります。非常にお勧めです!(後日、追記予定)
『マスカレード・ゲーム』東野圭吾
マスカレードシリーズの第4作。マスカレードシリーズの中でも最も好きな作品です、今のところ。(後日追記予定)
『マスカレード・ホテル』東野圭吾
マスカレードシリーズの第1作。お勧めです。(後日追記予定)
『マスカレード・ナイト』東野圭吾
マスカレードシリーズの第3作。マスカレードシリーズを読むならば第1作の「マスカレード・ホテル」から読むことをお勧めしますが、「ホテル」と同様に「ナイト」も同じくらいお勧め。(後日追記予定)
『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午
題名からはなかなか中身を想像し難い作品。推理に酔狂する4人の登場人物、彼らは実際に殺人事件を起こし、そのトリックをお互いにクイズとして出題し合う、という中々の狂った内容。犯人を当てる小説ではなく、トリック当て推理小説という面もあり、なかなかに面白いかと。(後日追記予定)
『七回死んだ男』西澤保彦
特殊設定ミステリの代表作としてまっさきに挙がる作品と言えば、『生ける屍の死』(山口雅也)と本作『七回死んだ男』(西澤保彦)ではないでしょうか。本格ミステリ時代の中で、「謎解きのために特殊な設定の世界をまるまるひとつ創り上げる」ことに成功した稀有な作品と言えます。あまり受賞歴で目立つものはないのですが、普段とは全く異なるミステリの世界にどっぷりハマることができるのは間違いないでしょう。
・第49回日本推理作家協会賞(長編部門)候補(1996年)
・第70位 東西ミステリーベスト100 国内編(2012年)
本作は特にタイトルから来るイメージと本作品がもつ雰囲気がだいぶ異なってくる点が別の特徴として挙げられます。読者の多くは、かなりシリアスな展開を予想しながら手に取るのかと思いますが、意外なほど面白く楽しみながら話にのめり込めるのではないかと思います。
『クラインの壺』岡嶋二人
タイトルからは全く想像付かない作品ですが、とあるゲームのテストモニターに参加する青年の話となっています。ただのモニターと思いきやそれがどんどんおかしな方向に。。。(後日追記予定)
『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ
イヤミスの女王・湊かなえが書くミステリー小説。どろどろした人間関係の描き方がすばらしい作品。(後日追記します)
『折れた竜骨』米澤穂信
実は国内評価が非常に高い本作。一方で、大衆読者へのハマり感は意外と思ったほど・・・という印象が強い本作。良い作品なのかダメな作品なのか、と言ったら間違いなく傑作だと私は思います。ただ、この隙のなく積み上げられたロジックは気づくのに結構大変でしたね。最後まで読んで「ほほぉ!」と唸らされました。
- 第1位 本格ミステリ・ベスト10(2012年・国内編)
- 候補作 本格ミステリ大賞(2011年)
- 第2位 このミステリーがすごい(2012年・国内編)
- 第2位 週刊文春ミステリーベスト10(2011年・国内編)
- 第1位 ミステリが読みたい(2012年・国内編)
- 第4位 SRの会ミステリーベスト10(2010年・国内部門)
タイトルは日本が舞台の作品を想像させますが、小説の舞台は中世のヨーロッパの小島。そこで起きる殺人事件。そして、魔術と呪いが存在する世界で生じる犯人捜しと予言された呪われたデール人の襲来。単純な構造ではなく、特殊設定であるからこそ成立する絶妙なロジックがわからないと、ちょっとなんでこれが評価されるのかはピンと来ない気がします。読んだ際のインパクトそのものを期待すると、少々違う結果になりますが、噛めば噛むほど本作品のプロットや伏線の凄さを感じる作品です。
『アリバイ崩し承ります』大山誠一郎
第19回本格ミステリ大賞候補、「2019本格ミステリベスト10」国内ランキング第1位、「このミステリーがすごい! 2019年版」国内編15位、と様々な方面から非常に高い評価を受けた作品『アリバイ崩し承ります』。時計屋の店主である主人公が警察も頭を悩ます難事件を解決していく短編集となっています。時計屋が「アリバイ崩し」をするなど現実感のない設定でファンタジックな要素も少々入っていますが、各エピソードのトリックの重厚さは本物。ミステリー小説の中でもかなり綿密に組み立てられた本格派であることは間違いないでしょう。ミステリー好きならぜひ。
『沈黙のパレード』東野圭吾
本作品はテレビドラマ化されたガリレオシリーズの第9作。ガリレオシリーズの中には、映画化もされた『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』がありますが、本作品も映画化されており2022年9月現在絶賛公開中とのことです。
本作品の国内での評価は、著名なランキングですと以下を獲得しており、さすが映画化されるだけのことはあるなと感じてしまいます。
・第4位 このミステリーがすごい!(2019年・国内編)
・第1位 週刊文春ミステリーベスト10(2018年・国内編)
東野圭吾氏の作品は若いときと最近のではだいぶトーンというかタッチや表現が変化してきた掴みどころのない作家という印象を本作品でも感じさせます。決して各作品ごとにバラバラという意味ではなく、東野圭吾氏の人生経験の積重ねが作品全体に影響していると強く感じさせるものが多いという意味ですね。『沈黙のパレード』についても社会的な変化を感じさせるシーンが多く記載されており、
・「セクシャルハラスメント」を感じさせる発言をグッと抑えるシーン
・「Youtube」「SNS」という単語が出てくるシーン
など、時代の変化で見えてくる情景がだいぶ変わってくることを感じた作品でした。もちろん、本作品のトリックはなかなかすごいですよ!ぜひ読者の皆さんには読んで推理していただきたいと思います。
ガリレオシリーズは少し時間が空いていたのですが、次作『透明な螺旋』が2021年9月に刊行されたこともあり、こちらも映画化されるか期待してしまいます!
『時計館の殺人』綾辻行人
第45回日本推理作家協会賞(1999年)を受賞した綾辻行人氏の『時計館の殺人』。日本推理作家協会賞というのは、まぁいわゆる推理小説オタクが創り上げたマニア協会が年に1度優れた作品に出す賞であり、長編部門・短編部門といくつか分類はありますが、この賞を受賞する作品は推理オタクが認める優れた作品とみなされるレベルということは間違いありません。
『時計館の殺人』は綾辻行人氏が描く「館シリーズ」の5作目となります。この『時計館の殺人』を読む人の多くは『十角館の殺人』を読んでいることは多いと思いますし、かなりの期待値を本作品に抱いてしまうかと思います。大概そういう期待値を抱かれてしまった作品の場合は、読者の期待値を上回れずにガッカリ作品となってしまうことが多いのですが、『時計館の殺人』はそれを受けて立つくらいの内容となっています。
20年超前のトリックですが、今読んでもそれは驚かざるを得ないでしょう。また、殺人鬼の狂いっぷりも本作は私の好きな要素で、ラストシーンの見事な情景も含め、心に残る作品と言えます。
『黒猫館の殺人』綾辻行人
綾辻行人氏の「館シリーズ」の第六作目にあたる『黒猫館の殺人』。第六作まで読み進める読者は相当なミステリー好き、ということもあり期待値が高くなりがちな本作品。とはいえ、用意されているスケールの大きなトリックには驚愕させられましたね。犯人捜しはもちろん本作の主軸となってきますが、トリックそのものを見破ることができたら、大したものだと思います。本作も読み終わった後の爽快感はなかなかです。
『ある閉ざされた雪の山荘で』東野圭吾
東野圭吾氏の若かりし頃の作品。こちらもなかなか仕掛けが面白い。お勧めです。(後日追記予定)
『青の炎』貴志祐介
犯罪小説。高校生が殺人に手を染めていく過程をただただ眺める、非常に切ない作品。ただ、それら含めお勧めです。(後日追記予定)
『硝子のハンマー』貴志祐介
前半が探偵小説、後半が犯罪小説という少し変わった構成。なかなかに面白い作品です。(後日追記予定)
『占星術殺人事件』島田荘司
この作品は40年前の怪奇な殺人事件をテーマに、推理役となる御手洗潔(みたらいきよし)と石岡和己(いしおかかずみ)の捜査によって過去の謎を解明していく流れとなっています。登場人物による手記の部分と事件の捜査部分に大きく分かれ、いくつかの部分において若干冗長な傾向があり、その面を除けば、読みやすい本格ミステリー小説の代表作と言えるのではないでしょうか。
『屍人荘の殺人』今村昌弘
冒頭の展開から全く予想していなかった展開になだれ込む奇想天外な本格ミステリに分類される作品。読んだときはこんな離れ業もあり得るのか!と驚きを隠せず、最後まで読んで必然の結末だったことがわかり、唸らされた作品です。続編である『魔眼の匣の殺人』『兇人邸の殺人』が刊行されており、人気を博しています。
また、本作品『屍人荘の殺人』は2019年に映画化されたことも話題となりました。私も映像化されたものを観ましたが、結構お金かかっただろうなと笑。小説とは細かいマイナーチェンジが入っていますが、かなり忠実に表現されており、制作陣の頑張りが伺えた作品でしたね。
- 大賞受賞 本格ミステリ大賞(2018年)
- 受賞 鮎川哲也賞(2017年度)
- 第1位 このミステリーがすごい!(2018年)
- 第1位 週刊文春ミステリーベスト10(2017年)
- 第1位 本格ミステリ・ベスト10(2018年)
- 第2位 ミステリが読みたい(2019年)
- 第1位 SRの会ミステリーベスト10(2017年)
受賞歴をざっと有名なランキングなどで調べてみたのですが、これはなかなかすごいですね。こういったランキングは本格ミステリのジャンルほど高く評価されがちな印象を持っていますが、そうだとしても相当すごいと思います。ぜひ内容は読んでみて体感していただきたいですね。
『水車館の殺人』綾辻行人
非常にお勧めです!(後日、追記予定)
『人形館の殺人』綾辻行人
綾辻行人氏の「館シリーズ」の第四作目にあたる『人形館の殺人』。「館シリーズ」はどれも非常に面白いため、いずれもお勧めなのは間違いありません。『人形館の殺人』は館シリーズの中だと異色作のような、やや違ったテイストが楽しめる作品となっているため、そういった面からもお勧めできます。なお、「館シリーズ」に手を出す際は必ず第一作目の『十角館の殺人』から順序通りに読むことをお勧めします。
『暗黒館の殺人』綾辻行人
綾辻行人氏の「館シリーズ」の第七作目『暗黒館の殺人』。文庫版は全四巻からなる超長編構成となっているため、覚悟して手に取る必要があります。全部でおよそ2000ページの超ボリューム、最後まで読み終えないと意味がない作品ですので、気力体力のあるタイミングで着手することをお勧めします。ちなみに私は読み始めから終えるまで約9日間(夏季休暇含む)かかりました・・・。
本作の部隊は暗黒館と呼ばれる不吉な噂をもつ館が部隊となっています。暗黒館の秘密、そこに住む人々が持つ謎のしきたり、そして暗黒館を訪れた江南に降りかかる奇怪な事件の数々。館シリーズのファン向け的作品でありますが、そのトリックの重厚さは超長編にふさわしいものとなっており、最終巻で明かされる驚愕の事実の数々に読者は衝撃を受けること必至かと。
ただし、序盤から中盤にかけてあまりに冗長に核心を引っ張り続けるもどかしさは、この分量のせいか否めないため、その辺は甘めにみた上で読むことをお勧めします。
『マスカレード・イブ』東野圭吾
マスカレードシリーズの第2作。「マスカレード・ホテル」の前日譚。(後日追記予定)
『超・殺人事件』東野圭吾
ちょっと変わった殺人事件を扱った短編集。ブラックユーモアに溢れる気楽に読める作品です。(後日追記予定)
『ロートレック荘事件』筒井康隆
1990年に刊行された筒井康隆氏による推理小説『ロートレック荘事件』。筒井康隆氏と言えばSF作品の方が有名でしょうか、『時をかける少女』などの作品の名前は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。私は映像化作品しか観ていませんが・・・。
さて、本作品は大賞を獲得している訳ではないものの、やはり高い評価を得ている作品として知られています。
- 第11位「このミステリーがすごい」(1991年)
- 第18位「本格ミステリ・ベスト100」
- 第7位 「週刊文春ミステリーベスト10」(1990年)
本作品の特徴として長編小説にもかかわらず200ページ程度のボリュームという点が挙げられるかと思います。この分量にもかかわらず、数多ある長編小説と肩を並べる中身の濃さ・衝撃の強さ。私は結構最近読んだのですが、そのトリックは後発作品で何度も模倣されてしまったこともあり、引っかかることができなかった(私は思いっきり騙されたい派です・・・)のですが、ミステリー初心者であれば十分驚きの境地に至ることができるのかなと。