皆さんは飛行機に乗る際はJAL派でしょうか、ANA派でしょうか?
私はマイナーな両刀使いとして、JALもANAもどちらも利用するタイプです。いろんな人から「どちらかに寄せればいいのに・・・」、とよく言われるのですが、JALが所属するワンワールドは使いたいし、ANAが所属するスターアライアンスも使いたいのですよね。だから両方のマイルを貯めるし、両方の航空会社を使います。
もっとも上級者はJALの上級会員資格(JGC:JALグローバルクラブ)もANAの上級会員資格(SFC:スーパーフライヤーズカード)も、両方持っていたりします。本当うらやましい限りですね!笑
さて、先日タイのバンコクへ行った際に幸運なことにプレミアムエコノミーへ当日アップグレードをしました。あまりエコノミーでJAL便を取ることが久しくなかったこともあって、新鮮な気持ちで搭乗することができたのですが、当日アップグレード料金が2017年4月に値上がりしていたりと使いづらくなってしまいましたね。
(2017年3月以前は1万円でアップグレードできました)
はたしてこの当日アップグレードはお得なのでしょうか。そうふと考えてしまいました。
目次
プレミアムエコノミーの料金
2018年8月下旬における10月中旬出発のエコノミークラスとプレミアムエコノミークラスの料金を比較してみました。
なお、正規料金で比較することは会社の経費じゃいざ知らず、個人旅行ではあまり参考にならない側面もあるため、変更不可の割引運賃(エコノミーセイバー:予約クラスQまたはプレミアムエコノミースペシャルセイバー:予約クラスE)で比較します。
羽田-バンコクの往復運賃額のみの場合(最安値);
・エコノミークラス:42,000円
・プレミアムエコノミークラス:114,000円
羽田-ニューヨークの往復運賃額のみの場合(最安値);
・エコノミークラス:100,000円
・プレミアムエコノミークラス:294,000円
おいおいどんだけ価格差あるんだ!笑、と調べてみて思いましたが、東京バンコク間でおよそ2.7倍。差額にして、72,000円(片道差額36,000円)。東京ニューヨーク間でおよそ2.94倍。差額にして、194,000円(片道差額97,000円)となります。
ただ、当日アップグレードでは、事前購入のプレミアムエコノミーと比較すると若干の違いもあることが知られています。以下でその違いについて、紹介します。
なお、航空券だけで価格差を取った場合、プレミアムエコノミーは大変高い金額が表示されることとなりますが、ホテルと航空券のセットで検索をかけた場合、東京バンコク間で約10万円で予約をすることも可能です(関西空港発着便で探すと、ビジネスクラスで10万円前後となるケースも過去ありました)。
キャンペーン時期や予約率の運に絡む要素も多いですが、航空券と宿をセットで取った方が総額が安くなる場面が多々ある点は覚えておきたいですね。
プレミアムエコノミーで得られる特典
ここでは、通常のエコノミークラスとプレミアムエコノミーとの違いを確認しておきます。プレミアムエコノミーで得られる特典を箇条書きにすると以下のとおり。
- 快適シート
- ちょっとプラスアルファの食事
- 航空会社のラウンジ
- 専用会社のラウンジ
- 優先搭乗
- 優先荷物受取
- マイル積算は100%
快適シート
やはり一番の大きな違いは機内でのシートといえますね。前後のシートの間隔は、エコノミークラスに比べて20%広いと言われており、たしかに足元に余裕がありますね!
シート幅は、エコノミークラスと1センチメートルしか違いはなく、ほとんど同じとも言えます。しかしながら、隣り合うシートの間には肘掛があり、エコノミークラスの肘掛の幅とは明らかに距離感が異なっています。隣を気にする必要がない快適さを得られるのは、大きなプラスといえるのではないでしょうか。
モニターの大きさがエコノミークラスよりも大きいのもプラスですね。
ちなみに、JALのプレエコシートとANAのプレエコシートを比較した場合、足元の広さ(座席間の距離)はJALの方が10センチ広いということがマニアの間では知られています。ただ、
ちょっとプラスアルファの食事
残念ですが、食事はエコノミークラスとほぼ同じものが提供されます。
上の写真は、羽田ーバンコク間を運航するJL33便の食事です。出発が深夜なので、出発後の軽食(右)、到着前の朝食(左)となっています。
なお、ここで映っているシャンパンはプレミアムエコノミーでしか提供されない(エコノミークラスでは提供されない)メニューの一つ。
また、これとは別に、
- 間食時のメニューでカップ麺(うどんですかい)が頼める
- デザートが一部グレードアップされる(場合がある)
などがオマケ要素として度々追加されます。
航空会社ラウンジの利用
プレミアムエコノミーの場合、各航空会社のラウンジが利用できます。
(当日アップグレードの場合は不可)
JALの場合、羽田空港・成田空港ではサクララウンジを利用することができ、名物のカレーを食すことができますね。
ちなみに各航空会社のラウンジは、プレミアムエコノミークラス以上の搭乗以外にもワンワールドのサファイア以上、スターアライアンスのゴールド以上の会員資格を保有していれば、仮に搭乗クラスがエコノミーであってもラウンジを利用することができます。
それ以外にもアップグレードポイントの利用やラウンジ利用券の使用など、代替手段は複数ありますね。
なお、海外の空港ラウンジを利用したい場合はプライオリティパスが非常に便利です。航空会社の上級会員資格がなくても、空港ラウンジに入れます。
こういった点を考慮すると、航空会社の上級会員取得者にはあえてプレミアムエコノミーを予約するメリットは薄くなるかもしれません。
専用チェックインカウンター
羽田空港等では、プレミアムエコノミー専用カウンターによるチェックインが可能です。また、プレミアムエコノミー専用カウンターがない空港の場合にはビジネスクラス専用カウンターでのチェックインが可能となります。
こちらも航空会社の上級会員であれば、ビジネスクラス専用カウンターを利用することができるため、プレエコを予約するメリットは薄くなりますね。
なお、航空系のプレミアムカード(いわゆるゴールドカードの上のプラチナカード)所有者であれば、ビジネスクラス専用カウンターを利用することができます。プラチナカード保持者にとっても恩恵は薄いといえます。
余談ではありますが、先日バンコクへ行った際はJAL便を使用したのは前述のとおりです。ふと、ANAチェックインカウンターを見るとビジネスクラス、エコノミークラスが長蛇の列となっており、ファーストクラスですら4,5人の待ちを作っていました。結構珍しい状況かと思います。
最近では変なトラブルを聞かなくなりましたが、2016年に立て続けに起きたANA機体のトラブルの件もあり、地上でのサービスも見ると、ANAの機体に乗るべきか迷ってしまう瞬間があります。悩ましいですね。
優先搭乗
プレミアムエコノミーは優先搭乗が可能です。搭乗時にプレミアムエコノミーについて優先搭乗できる旨を伝えてくれない空港もときどきありますが、優先搭乗できることは間違いありません。
ただし、優先搭乗と言ってもエコノミー機体後列と同じタイミングだったり、あまり優先度が高くないこともあります。なので、期待は禁物でしょう。
優先荷物受取
プレミアムエコノミー搭乗時は預け手荷物にプライオリティタグが付けられ、優先的に到着荷物のベルトコンベアから運ばれてきます。
この点についても航空会社の上級会員は同様の特典を得られるため、プレエコシートを予約せずとも代替が可能ですね。
マイル積算は100%
プレミアムエコノミーはマイルの積算が100%です。マイルやFOP(フライオンポイント)、PP(プレミアムポイント)・・・(上級会員達成となるポイントのこと)を稼いでいる人にとっては大きなメリットでしょう。なお、ダイナミックパッケージなどの宿泊とセットのプランで予約した場合は、積算率50%となってしまいます。
ちなみに、ビジネスクラスの場合は予約クラスに応じてマイル積算率が異なってきます。昔はツアー会社を経由して予約した便に乗った後に、マイル積算率が低くてがっかりしたことも多々あったので、最近は必ず確認する癖がついてしまいました。
- 予約クラスJ/C/D/X 125%
- 予約クラスI 70%
※主にツアーパックなどで設定されるクラス
当日アップグレードで得られる特典
では、当日アップグレードではどのような特典が得られるのでしょうか。
- 快適シート → 〇
言わずもがな、もちろんプレミアムエコノミーのシートに搭乗することができます。
- 食事がちょっとプラスアルファ → 〇
機内のサービスについては事前予約時と同様の恩恵を受けることができます。特段、当日アップグレードか否かで悪くなるわけではありません。
- 航空会社ラウンジの利用 → ×
残念ながら、当日アップグレードの場合は空港ラウンジは利用できません。ただし、航空会社上級会員であれば会員資格で利用可能ですね。
- 専用チェックインカウンター → ×
アップグレードの申し込みについては、プレミアムクラスのカウンターでできるという情報もありますが、こちらは未確認。だが、こちらも航空会社上級会員であれば会員資格で利用可能ですね。
- 優先搭乗 → 〇
こちらも事前予約のプレミアムエコノミーと同様、優先搭乗できます。いわずもですが、航空会社上級会員の会員資格でも優先搭乗が可能です。
- 優先荷物受取 → ×
当日アップグレードの場合、手荷物優先返却はしてくれない、とされています。これについても航空会社上級会員であれば会員資格で利用可能ですね。
- マイル積算は100% → ×
当日アップグレードの場合、予約クラスに応じた積算率となります。なので、そのまま。
どれぐらいの価格差があるのか
金銭的価値に置き換えることは難しいのですが、羽田ーバンコク路線と仮定して、その金額を概算で出してみたいと思います。
- 快適シート → 約18,000円
快適シートの使用料を1時間3,000円と仮定してみましょう。フライト時間が往路約6時間であるため、
1時間3,000円×フライト6時間=18,000円
- 食事のプラスアルファ → 約1,000円
ドリンク(シャンパン等)やデザートの追加なので、ざっと約1,000円とします。
まとめると、合計約19,000円となりますね。内訳を見てわかるとおり、当日アップグレードの恩恵は快適シートがほとんど全てとなります。
当日アップグレードをすべきかどうかなのですが、2017年4月からバンコク線の当日アップグレード料金は2万円となったため、”1時間あたり3,000円以上の価値を見出せるか”が分かれ目となりそうです。
これに追加して航空会社の上級会員であれば、優先チェックインカウンターや優先搭乗、手荷物優先受取り、空港ラウンジの利用ができます。すなわち事前予約と全く変わらないサービスを受けられます。
そのため、当日アップグレードにかかる費用は、あくまでも機内の中でのサービス料と考えるのが妥当でしょう。
当日アップグレードの条件
当日アップグレードできるかは非常に明快で、当日チェックイン(又は手荷物預け時)の際にプレミアムエコノミーの席が空いていれば、アップグレードが可能です。
国内空港出発時は、グラウンドスタッフはJAL職員であることがほとんどですね。そのため、空席がある場合にはアップグレードを勧めてくる場合があります。以前は、”プレエコの認知度の低さ”や”料金の高さ”から空席が多かった時期がありましたが、最近はプレエコ搭乗率も高まっており、当日アップグレードを勧めてこない場合も出てきました。
もしアップグレードをしたい場合には、自分からチェックインカウンターで確認するのがよいでしょう。
海外から国内へ戻る際の便は、現地の航空会社職員がチェックイン対応をしていることも多いです。プレミアムエコノミーの搭乗率に関わらず、案内をしないことも多いので、こちらも自分からアップグレードできるか聞いてみると良いでしょう。
ちなみに、JALの場合、アップグレードは航空会社の会員クラスや予約クラスが関係あるかどうか一切関係なく、空港でカウンターへ来た人の早い者勝ち、というルールとなっています。
カウンターは通常、出発3時間前(羽田や成田の場合さらに前から開いていることも)からオープンしているため、エコノミークラスで予約した人は当日アップグレード狙いで早めに行きチャレンジしてみると良いでしょう。
現金で当日アップグレードする場合
大変残念なことに、2017年4月から当日アップグレードの料金が値上げされることが発表されました。具体的な金額は以下のとおり。
- ニューヨーク線:3万円 → 4万円
- ホノルル線:3万円 → 4万円
- ロンドン線:3万円 → 4万円
- パリ線:3万円 → 4万円
- シドニー線:3万円 → 3万円(変更なし)
- バンコク線:1万円 → 2万円
- シンガポール線:1万円 → 2万円
- 香港線:1万円 → 1.5万円
北米路線、欧州路線、東南アジア路線など多くの路線で1万円一律値上げが多くみられました。特に、これまで1万円と非常に手頃な値段であった東南アジア路線が2万円となり、大変手痛い改悪となってしまった点が残念ですえ。片道でこの金額となると、今後も利用すべきかどうかは非常に悩ましい金額となります。
個人的には、東南アジアで2万円あれば★5の高級ホテルに1泊できる値段です。この金額を使って旅行中のホテルのランクをアップさせる方が、まだ利用価値が高いと感じてしまうのですが、どうでしょうか。
当日アップグレードに必要なマイル数
JALマイルでプレミアムエコノミーへ当日アップグレードをする場合
最近では、ポイントサイトやクレジットカードのポイントなどからJALマイルを貯めることができるので、比較的多くのマイルを保有している方も多いのではないでしょうか。
エコノミークラスからプレミアムエコノミーにアップグレードする場合は、通常は国際線アップグレードに必要なマイル数がかかってしまいますが、空港当日申し込みサービスを活用することで、少ないマイルでアップグレードすることができます。以下はエコノミークラスからプレミアムエコノミークラスへの必要マイル数です。
(残念なことに最安エコノミークラスである予約クラスS、パッケージツアーで予約した場合の航空券は対象外となります)
- (北米)ニューヨーク線:16,000マイル(通常マイル:20,000マイル)
- (ハワイ)ホノルル線:15,000マイル(通常マイルと同じ)
- (欧州)ロンドン線:16,000マイル(通常マイル:20,000マイル)
- (欧州)パリ線:16,000マイル(通常マイル:20,000マイル)
- (オセアニア)シドニー線:12,000マイル(通常マイル:15,000マイル)
- (アジア2)バンコク線:12,000マイル(通常マイル:15,000マイル)
- (アジア2)シンガポール線:12,000マイル(通常マイル:15,000マイル)
- (アジア1)香港線:7,000マイル(通常マイル:12,000マイル)
- 韓国線:7,000マイル(通常マイル:12,000マイル)
このように見ると長距離路線である北米線、欧州線は総じてマイルで当日アップグレードをした方がお得ですね。一方で、アジア圏は1マイル当たり1.5円程度の価格差となっているため、決してお得とは言いづらい価格差となっています。
JALマイルでビジネスクラスへ当日アップグレードする場合
プレミアムエコノミーへの当日アップグレードについては前述したとおりですが、ビジネスクラスへの当日アップグレードについても記載しておきます。他の航空会社も同様なケースが多いのですが、JALは毎年アップグレードに必要なマイル数を改定しています。以下に記載しているマイル数は2019年度のものとなるため、搭乗する際は適用されるマイル数にご注意ください。
- (北米)ニューヨーク線:30,000マイル(通常マイルと同じ)
- (ハワイ)ホノルル線:25,000マイル(通常マイルと同じ)
- (欧州)ロンドン線:33,000マイル(通常マイルと同じ)
- (欧州)パリ線:33,000マイル(通常マイルと同じ)
- (欧州)フランクフルト線:28,000マイル(通常マイル:33,000マイル)
- (オセアニア)シドニー線:22,000マイル(通常マイル:25,000マイル)
- (アジア2)バンコク線:18,000マイル(通常マイル:20,000マイル)
- (アジア2)シンガポール線・クアラルンプール線:18,000マイル(通常マイル:20,000マイル)
- (アジア1)香港含む中国路線:9,000マイル(通常マイル:12,000マイル)
- 韓国線(ソウル、プサン):10,000マイル(通常マイル:12,000マイル)
プレミアムエコノミーと比較すると、人気路線では当日アップグレードによる必要マイル数のディスカウントをしていないようです。ニューヨークやホノルルなどは事前アップグレードと同じ必要マイル数となります。その一方で、アジア路線などは当日アップグレードで1割前後の割引があるようです。
プレミアムエコノミーの必要マイル数と比較すると、ビジネスクラスへのアップグレードはより多くのマイルが必要となります。ただ、「エコノミークラスからプレミアムエコノミー」へのアップグレードと「エコノミークラスからビジネスクラス」へのアップグレードでは、サービスレベルを考慮すると、ビジネスクラスへアップグレードした方がお得かと思います。
まとめ:シート重視の人は狙ってみてもよい
エコノミーとプレミアムエコノミーは何が違うのでしょう。それは、シートピッチの広さ、すなわち座席の快適さと断言できます。
2017年4月より当日アップグレードの料金変更がなされた結果、非常に悩ましい金額となってしまいました。万人にお勧めできるものではありませんが、シート重視の人には選択肢として検討してみるのもいいでしょう。
今回の料金改定によって、プレエコを当日アップグレードする場合と事前で座席を購入する場合とで金額差が少なくなったことが挙げられます。JAL上級会員の場合、座席以外の恩恵は会員資格により享受できるため、座席料金として納得が行くのであれば当日アップグレードを申し込むのもいいでしょう。
また、一般会員であれば、当日にプレエコ席を確保するのは、決して安上がりかどうかはわかりません。そのため、価格が下がっているときのプレエコを事前購入するのが確実ではないでしょうか。
必ずしもできるかどうかはわからない当日アップグレード。もしプレエコに未だ乗ったことがないというのであれば、一度体験するという目的でアップグレードしてみるのも良いでしょう。以上、ご参考まで。