人事部の雑多な手続きの一つに保険証、年金手帳の再発行手続きがあります。人事部の花形業務である経営陣との交渉や新たな人材を登用する採用業務などと比較すると、かなり地味なものとなります。とはいえ、大事な身分証明書に相当する書類を紛失等した本人にとっては死活問題と言えます。
目次
「被保険者証等再交付」の手続き
健康保険組合等が発行する被保険者証
従業員は会社に勤務することで、健康保険に加入しています。全国健康保険協会(または健康保険組合)は各従業員に被保険者証(いわゆる健康保険証)を発行しており、その被保険者証を使用することで、医療機関の自己負担額を抑える等のメリットを享受することができます。
被扶養者(家族)についても、同様の保険証を発行してもらうことができます。
被保険者証を紛失した場合
従業員が、被保険者証や被扶養者証を紛失した場合、または当該保険証を汚してしまった場合や破損してしまった場合には、全国健康保険協会の都道府県支部(または健康保険組合)へ「健康保険 被保険者証再交付申請書」を提出し、被保険者証等の再交付手続きを行うこととなります。
再交付申請後に保険証が見つかった場合は要返却
紛失に伴う再交付申請をした後で、紛失した被保険者証・被扶養者証が見つかった場合には、当該被保険者証または被扶養者証を全国健康保険協会の都道府県支部(または健康保険組合)へ返却する必要があります。
人事部側としては、従業員に予め見つかった場合の手続きとして、案内をしておくのが望ましいでしょう。
被保険者証・被扶養者証は本人確認書類として使われる重要書類となります。そのため、紛失または盗難にあった場合には警察に届けるなど、然るべき対応が必要となるため、会社側からも従業員へ指導をしておくべきでしょう。
健康保険被保険者資格証明書を交付すると便利
再交付完了までには、他の手続き(資格取得、扶養異動など)と同様に時間を要することが多いと言えます。そのため、当該手続きと併せて「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出するとよいでしょう。
参考 従業員に健康保険被保険者資格証明書を交付するときの手続き日本年金機構
ややこしいことに、こちらの「健康保険被保険者資格証明書」の交付手続きの提出先は年金事務所(または健康保険組合)になります。前述する「健康保険被保険者証再交付申請書」の提出先と異なりますので注意が必要です。
年金手帳の再交付手続き
従業員に交付される年金手帳
あまり現役従業員が使用することのない書類として年金手帳が挙げられます。重要な書類であることには間違いありませんが、個人型確定拠出年金(通称iDeCo)の口座開設時など、日常で使用する機会が極めて限定されているため、意外と保管場所を忘れてしまったり、紛失してしまうケースがあります。
年金手帳を紛失等した場合
年金手帳の紛失や、当該書類を汚してしまった場合、その他破損してしまった場合には、年金事務所へ「年金手帳再交付申請書」を提出し、年金手帳の再交付手続きを行うこととなります。
年金手帳は公的年金から将来受け取ることができる老齢年金だけでなく、被保険者が死亡した場合の遺族年金や、不慮の事故等で障害を負った場合に支給される障害年金の手続きでも必要となる場合があります。そのため、年金手帳を紛失した場合は必ず再交付をしておくことが望ましいでしょう。
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