英語初学者にとって頻繁に訪れる場面といえば「相手の英語が聞き取れなかったとき」ではないでしょうか。英語が聞き取れないのはリスニング力の問題もありますが、相手の説明が不明瞭である場合など、原因は状況に応じて異なってきます。こういう場合は勇気をもって相手にもう一度説明なり発言を繰り返してほしい、と思うのが常なのですが、こういうときに何て言えばいいのでしょうか。今回は、そんな状況で使えるフレーズをまとめてみました。
目次
相手の英語が聞き取れなかったときの返答
状況は色々と異なるのですが、1:1のコミュニケーションで返答する場合や何かのプレゼンテーションや集団で会話している場面などで、若干使うフレーズが変わってくるかと思います。今回は大まかなカテゴリ分けをしつつ、紹介します。
その1 相槌のように使う場合
No.1 Sorry?
“Sorry”は「すみません/ごめんなさい」などの謝る意味の単語ですが、割と日常的に使用される単語でもあります。相手の発言に対して、怪訝そうな表情を浮かべながら(電話越しでは見えませんが)”Sorry?”と言えば、相手はもう一度同じことを言ってくれる(ことが多い)かと思います。
謝る意味での”Sorry”と繰り返してほしいときの”Sorry?”はイントネーションが異なっており、明らかに疑問形で投げるイメージで言うとよいでしょう。
No.2 Excuse me?
”Excuse me?”は日本語の「すみません?」と声を掛けるニュアンスに近いフレーズです。相手の言ったことがわからなかった場合でも使えるフレーズのひとつです。会話の最中に騒音や相手の喋りが明らかに不明瞭な場合などは、”Excuse me?”と言うだけでもう一度話してくれるでしょう。
若干やっかいなのが、”Excuse me?”のイントネーションを間違えると、相手の言ってることが間違いでそれを疑っているようなトーンで伝わってしまう場合があります。できれば、ジェスチャーを交えて、誤解されないような伝え方が望ましいですね。(早口でなく、ゆっくりねちっこく言うと嫌なニュアンスになりやすいです)
No.3 What?
”Sorry?”や”Excuse me?”などと比較すると、だいぶラフな表現になってきますが、咄嗟の一言として、よく使います。必ずしも相手の英語が聞き取れなかった場合に使うものではないですが、色んなシーンで使われるため、困ったときはこのフレーズでも問題ないでしょう。
個人的に、友人間や同僚間では気軽に使えますが、距離の遠い上司やクライアントとの間柄ですと、使用は控えた方がいいかと思います。
No.4 Huh?
オフィシャルな場面でも不適切なフレーズとなってきてしまうのですが、”Huh?”(音で言うと「ンア?」に近い)と言うだけでも、同様の意味で通じたりします。さすがにかなりラフなフレーズなので、家族や親しい友人に限定した方がいいかなと思いますが、ネイティブ同士だとコミュニケーションのひとつとして、よく使われます。
No.5 Pardon?/Pardon me?
中学校で習う有名なフレーズのひとつですね。ネット上の一部の人からは「実際のネイティブとの会話では、こんなフレーズ使われない」と評されていたりしますが、私の感覚からすると、一部の地域(イギリス英語だと、よく耳にします)では一般的に使いますし、もっぱら丁寧な表現のひとつとして認知されています。もちろんアメリカ英語でも通じるフレーズです。カナダ&アメリカ人で使う人は・・・かなり少ない気がしますが。
No.6 I beg your pardon?
”Pardon?”/”Pardon me?”の上位版ともいえるこちらのフレーズですが、私自身は全くと言っていいほど、聞いたことがありません。もちろん意味は「もう一度言ってくれますか?」であり、どの地域でも同じなのですが、かなりへりくだった表現と言えます。逆に言うと、やや嫌味を言うような場面で使われるケースもあります。
知っておくべきフレーズであることは間違いありませんが、使わなくてよいフレーズかと私個人は思います。
その2 相手の話を遮った上で、繰り返してもらう場合
No.1 What did you say?
前述したフレーズよりは、相手の話を遮り、うまく聞き取れていないことを相手に伝えやすいフレーズとなっています。とはいえ、実際に使う場合は前述したフレーズとの組み合わせの方が使いやすいかなと。
No.2 What was that?
“What did you say?”とほぼ同義となるフレーズですが、相手が言っていることが聞き取れなかった場合、相手の言っている内容が理解できない場合などで使うフレーズです。語尾に”Sorry?”を付けるとよりニュアンスがハッキリするかと思います。
No.3 Sorry, what did you just say?
こちらも類似のフレーズですね。”What did you say?”とほとんど同じなのですが、直前に行ったことにフォーカスして、聞いているニュアンスになります。
No.4 What did you say just then?
”Sorry, what did you just say?”とほぼ同じニュアンスで使えるフレーズとなります。
No.5 Sorry, I didn’t quite catch that.
こちらも類似のフレーズと言えばそうなのですが、相手の言ったことの全体像がうまく理解できなかたときに使えるフレーズとなります。
No.6 Sorry, I didn’t quite get that.
こちらも”Sorry, I didn’t quite catch that.”と類似のフレーズになります。
No.7 I don’t understand. Could you say that again please?
ものすごく丁寧に、うまく理解できずもう一度言ってほしい旨を伝えるとすれば、こちらのフレーズが良いでしょう。さすがにビジネスシーンでここまで丁寧に言う場面は、まずないのですが、ちゃんと伝えたい場面であれば使いやすいフレーズかと思います。
No.8 Can you say it again?
比較的ラフに使えるこちらのフレーズ。”Can”で始めるのか、”Could”で始めるのかはニュアンスの違いが少々出るが、割とビジネス的な距離感でも”Can”で伝えることは多い気がします。使い勝手的には、英語が苦手でも言いやすいフレーズでないかと。
その3 相手にゆっくり/大きな声で話してもらいたい場合
No.1 Would you mind speaking up a bit?
何か騒音などで相手の声が聞こえなかったときは、こちらのフレーズの方がよいでしょう。もう少し大きな声で話してもらいたい、という意味となります。
No.2 Would you mind slowing down a bit? I’m struggling to follow.
相手が早口過ぎて、何を言ってるのかわからなかった場合に使えるフレーズはこちらです。とはいえ、リスニングが苦手な人がこのフレーズを言うのは、相当心理的にキツイ部分もあります笑。
ビジネスの現場では相手が早口過ぎるという場面は、比較的よく遭遇します。なかなか相手に「ゆっくり喋ってほしい」と伝えるのはハードルが高いのですが、特にネイティブは知らず知らず早口で喋ってしまう人も多数いるため、思い切って伝えてあげた方がいい場合が多いかと、個人的には思います。
その4 上記以外の言い方
No.1 I’m not sure I understand what you mean by “…”
こちらは相手が話している内容のうち、一部分がわからなかった場合に尋ねるフレーズとなります。具体的には相手が難しい単語や一般的でない意味合いで単語を使った場合には、このような表現で尋ねてみるのが良いでしょう。
No.2 I’m sorry to interrupt but …
相手の話を遮る場合に用いるフレーズのひとつとして、使える表現がこちら。もちろん毎度毎度このフレーズを用いる必要はありませんが、相手がスピーチや説明をしているときに、こちらから中断させるような形で割り込む場合には、一言付け加えるこのフレーズが役に立つでしょう。若干、乱暴さが軽減することになります。
No.3 This is all Greek to me.
こちらはイディオムと言いましょうか、日本語で言うところのことわざ的な雰囲気のフレーズです。”Greek”はギリシャ語という意味で、直訳すると「これは私にとって完全にギリシャ語だよ」という意味になります。
つまるところ、相手の言ったことが難しくてよくわからない、ということを意味しているフレーズです。表現としては”I don’t understand at all.”と同義ですね。
こちらのフレーズは好んで使うべき場面はあまりないかなと個人的には思います。会話の流れにもより若干、相手を小バカにしたようなニュアンスが入る状況もあるため、トーンや表情で相手への印象が変わってくるかと思います。
No.4 That was as clear as mud.
こちらも他のフレーズと同様、説明なり発言の内容がわからない、ことを意味するフレーズとなっています。”mud”の意味は「泥」ですので、直訳すると「泥と同じくらいの透き通り具合だよ」となります。
もう説明は不要かと思いますが、これは比喩的に会話の内容がさっぱり不透明で理解できないことを指しています。
英語初学者が使うべきフレーズとは言いづらいですし、ビジネスの場よりはカジュアルな場で使ったりすることもある程度のものなので、こんな表現もある程度に覚えておくくらいでしょうか。
No.5 That went right over my head.
類似の表現として、”go over my head”という表現を用いて伝えるフレーズもあります。”go over my head”とは直訳で「私の頭を通り過ぎる」=(話の内容が頭の中に入ってこない)という意味であり、さっぱりわからない、理解できないということを伝えるフレーズとなっています。
No.6 What are you on about?
ややスラング的な表現として、こんなフレーズもあります。動詞の部分が省略可しており、ネイティブのカジュアルな会話だとそこそこ出てくる表現かと思います。省略しているワードを補語すると、”What are you (going/talking) on about?”となりますね。
まとめ:色々あるが、Sorry?で事足りてしまったり・・・
まぁ、色々と表現しようと思えば、いくらでも出てきますし、ビジネスの場面でも上記に挙げたものは、そこまで不適切なものは少ないのではないかと思います。ネイティブはそもそもネイティブ同士で「もう一回聞いていい?」ということを言うこと自体が絶対的に少ないのですが、対非ネイティブにはよく使います。(非ネイティブの英語の意味がよくわからないことは多いので)
基本的に聞き返す場合には”Sorry?”で事足りると思いますし、むしろスピードが早すぎる場合には”Can you speak a little slower?”と伝えないと、その後のコミュニケーションが全くできなくなったりします。本人の英語力、理解力の問題もありますが、相手に失礼にならない形で伝えられれば結局はOKだと思うので、上記のようなフレーズの組み合わせを使えればいいのかなと思います。以上、ご参考まで。