ふとある時、英単語には単数形と複数形がどのくらいあるのだろう?と疑問を抱くことがありました。多くの人は中学校あたりのタイミングで、羊の英単語”Sheep”は一匹でも二匹でも”Sheep”と表現することを習うかと思います。もちろんこれ以外でも有名な単複同型の英単語はあるのだと思いますが。今回は、この単複同型の英単語にスポットライトを紹介します。
目次
単複同型と不可算名詞
単複同型の英単語を紹介する前に、単複同型と不可算名詞は違うということを簡単に記載しておきます。
不可算名詞というのは、例えば以下のようなものが該当します。
- Information 情報
- Advice 助言
(外交上の「通告・報告」であれば可算名詞) - Water 水
(「波紋・波形」「水彩画」であれば可算名詞) - Love 愛
(「恋人」「愉快な人」の意であれば可算名詞) - Money お金(紙幣や硬貨ではなく、概念としての「お金」)
こういった英単語は、上記の意味で用いる場合、ひとつ、ふたつと数えられるものではないため、不可算名詞と呼ばれています。そのため、単数形・複数形という概念がない英単語なんですよね。
そのため、数えられそうな不可算名詞を誤って、単複同型と理解していたりすると、実はおかしな英文解釈になったりと、非常に厄介な話となりますため、英語学習者の皆様はお気を付けください。
単複同型の英単語
Bison バイソン
バイソンは日本だとあまり馴染みがないかもしれませんが、写真のような動物です。英語だと1匹でも2匹でも”Bison”と表現します。
“Bisons”と表現することは間違いか、というと色々賛否が分かれるようです。一部のネット上の辞書では、”Bison”の複数形を”Bison or Bisons”と表記しています。
ただ、それと同じくらい”Bisons”は文法上の誤りであると表記している文献や記事も見られますし、欧米の子供がDeersなどと間違えて言ったりするのと同じように、複数形=”s”を付けて表現しただけとも言えます。
ちなみに、MLBのBuffalo Bisonsは意図的に異なる意味で”s”を付けているようなので、上記の文法上の話とは異なる点にご留意ください。
Cod タラ(鱈)
魚の英語名を覚えるのは、なかなか大変なのですが、比較的よく出てくるタラも単複同型の英単語となります。1匹でも2匹でも”Cod”と表現します。
文法上は”Cods”と表現する場合もあり、その場合は一般的に「(複数種類の)タラ」を指します。後述する”Fish”と共通していますね。
Deer シカ(鹿)
シカを表す”Deer”も単複同型です。1匹でも2匹でも”Deer”です。
Fish 魚
”Fish”は1匹でも2匹でも”Fish”で表現されます。タラの箇所で前述したように、”Fishes”と表現すると、「(複数種類の)魚」という意味になります。
Grouse ライチョウ
あまり日本では馴染みのない鳥「ライチョウ」は英語で言うと”Grouse”と呼ばれます。ライチョウもまた単数形でも複数形でも”Grouse”と表現します。
”Grouse”には「ライチョウ」の意味だけでなく、「不平・不満」という意味もあります。そのため、複数形で”Grouses”と表現した場合、「(いくつもの)不平・不満」という意味となります。
Moose ヘラジカ
これも日本では、馴染みがないといいますか、シカというひとつの種で分類されている動物ですね。”Moose”はヘラジカのことであり、複数形も”Moose”となります。
Swine 豚
豚を意味する”Swine”もまた単複同型の英単語です。
ちなみに、豚を意味する英単語は色々あって、”Pig”、”Hog”、”Boar”などがあります。いずれも豚ではありますが、それぞれ意味するものが異なり、以下のような違いがあります。
- Pig 豚(米国では「子豚」)
- Hog 豚(米国では「(食肉用の成長した)豚」「(去勢した)雌豚」
- Boar イノシシ、(去勢していない)雌豚
- Swine 豚、イノシシ、豚・イノシシの総称
その他の単複同型の英単語
上記に記載した以外にも単複同型の英単語は結構たくさんあるようです。例えば、以下のようなものが該当します。
- Aircraft 航空機
- Crossroads 交差点
- Dice サイコロ
- Gymnastics 器械体操
- Headquarters 本部・本社
- Means 手段
- Offspring 子孫
- Salmon シャケ(鮭)
- Series シリーズ・セット
- Sheep 羊
- Species 種・種類
- Staff 職員たち・スタッフたち
まとめ:実は面白い単複同型の英単語
色々と調べていくと、単複同型の英単語でも複数形の際に”s”を付ける英単語がそこそこありました。”s”を付けた場合でも意味が成立する場合もあるようなのですが、基本的には単複同型の英単語とは意味が全く異なる意味になる場合も多く、なかなか調べていて面白いな、と感じた次第です。
私も仕事の中で英文法や単語の用い方には注意を払っているんですが、知らないところで単数・複数を間違えてしまう場合もそこそこあります。意味が誤解されるケースは少ないですが、できる限り正しい英語で伝えられるよう日頃から気を配っておきたい部分ですね。以上、ご参考まで。
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