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フラット35がもつ7つのデメリット

全期間金利が固定となる住宅ローンとして有名なフラット35。多くのメリットがあることはたくさんの人に認知されているようですが、「変動金利と比較して高い金利が適用される」など複数のデメリットを有していることは意外なほど知られていません。今回は、そんなフラット35に関するデメリットについて紹介したいと思います。

フラット35とは

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供しているフラット〇〇ですが、「フラット35」は不動産購入未経験者の方でも聞いたことあるかと思います。

フラット35がもつ4つのメリットとは?住宅ローン選びを考える。

フラット35のメリットについては、こちらの記事でまとめていますが、やはり全期間金利が固定される点は魅力的ですね。将来の金利上昇リスクをヘッジできるこの商品は、現代の低金利環境下において非常に魅力的な商品といえます。

フラット35のデメリット

絶対的かつわかりやすいメリットを有しているフラット35ですが、デメリットは具体的に何でしょうか。以下ではフラット35がもつデメリットに触れていきたいと思います。

その1 変動金利よりも金利が高い

フラット35は全期間金利が固定されるという絶大なメリットを有している反面、その利率は変動金利より高く設定されます。

2020年7月現在では民間金融機関の住宅ローン適用金利(各社金利引き下げ後・表面利率)は、0.4%~0.6%の水準にあります。各社で優遇幅が若干異なるものの、史上最低水準の金利となっており、将来の金利変動リスクを勘案したとしても極めてお得な状況であると言えます。

一方で、フラット35に適用される金利は同月現在で0.9%~1.5%の水準にあります。変動金利と比較すると、+0.5%程度の金利上乗せが実施されており、この増加分が金利上昇リスクのヘッジコストと言えます。

融資額3,000万円の場合、一月当たり約12,500円のヘッジコスト

上乗せ金利の水準だけでは、損得がわかりづらいかと思います。あまり安直な数字で解釈するのは危険ですが、+0.5%のヘッジコストが意味するところは、年間約15万円(毎月12,500円)のコストをかけて金利上昇リスクに備えているということに他なりません。

もちろん変動金利を適用した場合に「契約時金利+0.5%」を超えて、4.0%、5.0%の水準まで増加した場合には、ヘッジコストがかすむレベルの多大な損失を被ることは明白であるため、適用する金利条件は十分に注意したほうがいいのは間違いないですね。

その2 物件選びの段階で制約がかかる

国内で販売されている物件の購入時に必ずフラット35を申し込めるとは限りません。フラット35を適用するには、購入物件が必要な要件を満たしている必要があります。

上記のような要件を物件が満たしている必要があり、フラット35を検討する場合には購入物件がそもそも住宅金融支援機構が規定している要件を満たしているかどうか不動産会社と事前に相談して物件選びを進めるのが良いかと思います。

MEMO
2019年10月1日以後の借入申込分から「建設費・購入価額の上限1億円」が撤廃されました。なお、融資限度額はこれまでと同じ8,000万円のままとなっています。

フラット35Sの場合、適合要件はさらに追加されます

適用金利が一定期間引き下げとなるフラット35Sの場合、フラット35よりも多くの要件が必要となります。フラット35Sが魅力的な商品である点は間違いないのですが、フラット35Sありきで物件探しをするとかなり物件選びの選択肢が狭まってしまう点には注意が必要です。

その3 物件検査の手続きや費用がかかってしまう

フラット35を提供するためには、住宅金融支援機構が定める基準に適合している必要があるのは前述したとおりです。この基準に適合しているかは別途検査が必要となり、1件あたり2~6万円の費用がかかると言われています。

手数料の詳細につきましては、建設される地域、一戸建て住宅か共同住宅か等によって異なりますので、詳しくはご利用を予定されている検査機関等にお問い合わせください。

なお、一戸当たりの平均的な手数料の目安といたしましては、新築住宅(一戸建て)の場合で、2~3万円台、中古住宅(一戸建て)で4~6万円台です。

住宅金融支援機構

その4 借換時には銀行側の融資事務手数料等がかかる

変動金利からフラット35に変更する場合や、フラット35からフラット20などの短い期間のローン契約に変更する場合などは、どうしても手続き上の事務手数料がかかってきてしまいます。

一概な値段設定はなく、金融機関毎に手数料水準が定められていることが多いです。ただ、そうは言っても融資額の2~3%の水準に収まることが多く、融資額が2,000万円であれば、およそ借換時には40万円~60万円程度の諸費用がかかってくることとなります。

その5 優遇条件には自己資金が必要

フラット35の適用金利には、自己資金の割合が大きく関係します。特に、自己資金が住宅価格の10%以上である場合、フラット35の優遇金利を適用することができる一方で、自己資金が住宅価格の10%未満である場合にはフラット35の中でもさらに高めの金利を適用することとなってしまいます。

2020年7月現在だと、自己資金の水準によって金利は大きく変わってきます。

融資率最も多い金利
融資率9割以下1.300%
融資率9割超1.560%
(2020年7月現在。住宅金融支援機構HPより)

自己資金が1割あるかどうかで+0.26%(2020年7月現在)の差があるため、フラット35を適用する場合には自己資金は必須かと思います。もし、自己資金なしで住宅ローンを組むのであれば、高い利率のフラット35ではなく変動金利で設定し、繰上返済を早期に進めた方がフラット35との金利差額を繰上返済の原資に回して早期に残債額を減らす方のも考えたいところです。

その6 団体信用生命保険が任意扱いのため、保険料は有料扱い

フラット35は団体信用生命保険が任意扱いのため、団信に加入せず諸費用を抑えたいという方にとってはメリットと言えるかもしれません。ただ、諸費用の安さよりも将来の安心を重視する方にとってはデメリットになってしまいます。

団体信用生命保険に加入する場合、別途保険料がかかってきてしまうため、費用がかさんでしまう点は明らかにデメリットと言えます。民間の金融機関が提供している変動金利の場合、団体信用生命保険に加入しなければならず、元々の保険料が無料という扱いの金融機関も現在は多数あることで知られています。

なお、住宅金融支援機構が提供している機構団信特約制度に加入しない場合、フラット35の借入金利から-0.2%の優遇を受けることができます。

新機構団信制度に加入しない(できない)場合の金利は、新機構団信付き【フラット35】の借入金利-0.2%となります。

住宅金融支援機構

その7 繰上げ返済は10万円以上から

繰上げ返済手数料は無料なのですが、繰上げ返済ができる金額は10万円以上からとなります。ネット銀行などは10,000円から繰上げ返済ができる点を考慮すると、利便性はかなり悪いかなと思います。

もちろん数万円レベルの少額で繰上げ返済をする方は少数派かと思いますので、大きなデメリットではないかと思いますが10万円以上のまとまった金額で返済しなければいけない点は覚えておかなければなりません。

まとめ:将来の金利上昇リスクをどう見るか

私自身が不動産購入を考えたときに、フラット35はたしかに魅力的なのですが、将来の金利上昇リスクと天秤にかけた際になかなか判断が難しい状況となりました。

現在の超低金利環境下ですと、変動金利で契約した購入者はかなり多いのは事実ですし、住宅ローンの基準金利となる短期プライムレートはここ10年間ほとんど動いていません。日銀など国債流通量で金利水準は変わることとなりますが、この基準金利を引き上げようとした場合には多くの人に影響を受けることは必至ですし、日本経済そのものも大打撃を受けることは間違いありません。(長期国債の動きはややゆるやかな上昇傾向を個人的には感じられますが見通しは現状と同じなのかなとも感じます)

足元5年間程度は、金融機関が提供する表面金利がゆるやかな上昇をすることも考えられますが、基準金利まで大きく動くかどうかはやや懐疑的な面もあります。

もちろんフラット〇〇シリーズが与えてくれる安心感は金利上昇局面において著しい効果を発揮するのは間違いないですし、それが将来いつの日か来ると考えているのであれば、加入するという選択肢を積極的に検討してもよいのではないかと。以上、ご参考まで。


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