SFC修行という言葉があります。SFCとは航空会社ANAにおける会員プログラムの中で一定の要件を満たした上級会員のことを指しています。この上級会員になるための要件をクリアするために、必要以上に飛行機に何度も乗って出かけるのが、SFC修行の主たる目的です。私はANAの上級会員ではありませんが、SFC修行をやるべき理由・メリットについて、個人的に思うところを紹介したいと思います。
目次
SFCとは
SFCはANAの上級会員のことを指しています。上級会員の中にはランクがあり、
- ダイヤモンド:1年間に100,000PP以上を獲得
- プラチナ:1年間に50,000PP以上を獲得
- ブロンズ:1年間に30,000PP以上を獲得
の3種類に分かれています。ANAの場合、プラチナ会員の資格を一度取得し、プラチナ会員期間中にSFCカードと呼ばれるクレジットカードを発行すると、翌年移行もSFC会員として上級会員の資格(主にプラチナ会員相当)のメリットを享受することができます。
その1:空港ラウンジが利用できる
やはり具体的なメリットとして挙げられるのが、この空港ラウンジでしょう。
航空会社運営の空港ラウンジはアルコールや食事が無料
ゴールドカードなどのクレジットカードで入ることが空港ラウンジとは異なり、航空会社運営の空港ラウンジ(ANAラウンジやJALのサクララウンジなど)ではビールなどのアルコールや食事が無料で提供されています。
ただ、ファーストクラス向けのラウンジではまだしも、ビジネスクラス向けのラウンジでは通常シャンパンなどが置いてあるケースはレアです。スパークリングワインなどであれば比較的よく置いてあります。
食事面について言うと、日本のANAラウンジ国内線だとおにぎりや柿の種程度しかありませんが、国際線であればカレーライスやサラダバー、ヌードルバーなど充実しています。(毎度必ずではありませんが)食事の争奪戦が起きるほどの人気?があるため、フード類が補充されると、もの凄い勢いで沢山の人が群がりあっという間になくなってしまうことも、海外出張者の間では有名ですね。
海外の空港ラウンジも利用できるようになる
SFC会員はANAの上級会員であると同時に、スターアライアンスと呼ばれる航空会社連盟内のゴールド資格を有するため、海外の空港ラウンジも利用することができます。この点は大きなメリットと言えるでしょう。
留意点①:羽田・成田の空港ラウンジは混雑に要注意
ANAラウンジ(JALのサクララウンジも同様)ですが、羽田・成田の国際線に限定して言うと、極めてひどい混雑となっています。少なくとも、
- 平日午前のサラリーマンで混みあう時間帯
- 平日夕方以降のサラリーマンが出張から戻る時間帯
- 金曜夜の土日を活用した旅行者が集中する時間帯
- 週末午前の週末旅行の出発が集中する時間帯
は極めて注意が必要と言えるでしょう。とここまで書いて思いましたが、ほとんど混んでいますね・・・。
また、セキュリティエリア内のレストランなどではまずあり得ない話なのですが、なぜかラウンジ内には非常に横柄な上級会員が複数いることが多数目撃されています。実際に私もそういう人を見てきて非常に不快な気分となったことが嫌な思い出として刻まれています。
2月某日、冬休みを活用してバンコク、シンガポール旅行ファーストクラスの旅を計画しました。具体的なルート及び発券方法についてはこちらの記事を参照。今回はその旅程のスタート地である羽田空港で利用したANAスイートラウンジを紹介します。ANAスイートラウンジ出発は羽田空港から。タイ国際航空のファーストクラスでバンコクへ向かいます。10数年ぶりのファーストクラスということもあり、もう出発前から気分は上々です。タイ航空のロイヤルファーストクラスカウンターでチェックインを済ませた後は、誘導員に連れられて… 【羽田空港】ANAスイートラウンジに行ってみた – 万国旅行塾・読書塾 |
なお、一般のANAラウンジよりもダイヤモンドラウンジの方にそういった方が多いという声は、ちらほら上級会員コレクターの友人から何度か聞いているのは残念なところです。
留意点②:海外はプライオリティパスやダイナースカードで代替可能
海外の空港ラウンジはプライオリティパスやダイナースカードでも代替が可能であるため、そちらを保有されている方は、空港ラウンジが使えるというメリットは国内線利用時に限定されることとなります。
プライオリティパスは楽天プレミアムカードで入手可能
補足ですが、プライオリティパスは
で簡単に入手することができます。”楽天プレミアムカード”は、”楽天カード”、”楽天ゴールドカード”の上位に位置するカードのことです。一応、さらに上位には”楽天ブラックカード”なんてものも存在することが知られています。この楽天プレミアムカードは年会費10,000円(税抜)がかかります。国内の一般的なゴールドカードと同等クラスの金額です。これだけの金額を払ってまで、このカードを保有するメリットがあるのかどうか、について今回は考えたいと思います。楽天プレミアムカードは2023年11月1日に各種ポイント付与倍率の引下げやプライオリティパスの回数制限など… 楽天プレミアムカードは年会費ほどのメリットがあるか検証してみる – 万国旅行塾・読書塾 |
”プライオリティパスで入れるラウンジと海外の航空会社専用ラウンジだとサービスに差がある”という意見もたまに聞きますが、正直ほとんどの空港でビジネスクラス指定ラウンジとプライオリティパス入場可能ラウンジが同じであったりする場合もあるため、どちらが上であるかは私個人は判断できません(というか今のところ差をほとんど感じたことはありません)。
留意点③:ビジネスクラス利用時は上級会員であることのメリットなし
上記の話はビジネスクラス利用の方はもちろん利用できる話であるため、普段からビジネスクラスを利用される方についても上級会員になるメリットはない話となります。
まぁ・・・エコノミークラスであってもビジネスクラス並みの待遇を受けられるのが上級会員の魅力でもあるので、普段からビジネスクラスを利用するのであれば日本の航空会社の上級会員であるメリットは薄いかもしれません。
その2:優先チェックインや手荷物検査優先レーンが利用できる
最近ではキオスク端末で航空券の印刷などもできるため、機内持ち込みのみで旅行される場合にはほとんど待ち時間はないかもしれません。ただ、海外旅行を中心とする数泊の旅行などではかなり多くの方が預け荷物をすることとなります。
上級会員はビジネスクラスカウンターを利用できる
一般的に航空会社のエコノミークラス預け荷物レーンは長蛇の列となっていることが多いです。ビジネスクラスやファーストクラスはガラガラといった状況はよくあるのですが、やはり利用人数の関係もありエコノミークラスは当日かなり不便な思いをすることとなります。
ただ、上級会員であれば、ビジネスクラスカウンターを利用できるため、例えエコノミークラスを利用したとしていてもガラガラのチェックインカウンターを利用できることとなります。
もちろん普段からビジネスクラスを利用している方は当該メリットはないのであしからず。あと、長蛇の列に並ぶことが全く苦にならない人も笑。
手荷物検査場も優先レーンでスムーズに通過
日本国内の特徴的な点として、成田空港国際線や羽田空港国際線の手荷物検査場では上級会員は優先レーンを利用することができます。羽田、成田ともに金曜日夜の手荷物検査などは極めて混みあうことが知られています。そういう状況下でも優先レーンでスムーズに手荷物検査を抜けることができる点は嬉しいですね。
しかも、手荷物検査場の優先レーンは上級会員のエコノミークラス利用者は利用できますが、非上級会員でビジネスクラス利用者の場合、利用することができません。そのため、日本国内では「上級会員エコノミークラス>非上級会員ビジネスクラス」という扱いをしていることが顕著にわかる場所だったりします。
この点を踏まえると、羽田空港をメインに利用される方はSFC修行をするメリットは大きいと感じるのではないでしょうか。なお、成田空港国際線では、ビジネスクラス利用者には別途優先レーンがあります。こちらは非上級会員にも優しい運営ですね。
その3:特典航空券が取りやすくなる
上級会員になると特典航空券が取りやすくなると言われています。特典航空券の解放数は自社の上級会員ランクが高ければ高いほど解放される傾向にあるため、上級会員であるほど多くの座席をマイルで取ることができます。
空席待ちの優先順位が上がる
ANA便の特典航空券の予約をする場合であれば、空席待ちの優先順が上級会員となるため、非上級会員と比較すると特典航空券が取りやすくなることが言えます。
ただ、特典航空券が取りやすくなったと言っても、ただのSFC会員よりもダイヤモンド会員の方が優先される仕組みとなっているため、ハワイ線などの人気路線は極めて難しいと言えます。(もちろん隙間の日程などで1人分の特典航空券を確保することは十分可能だと思いますが、家族4人分の特典航空券を確保するなどはかなり難易度が高い話になってきます)
遅延欠航時に優先対応される
毎年、最上級会員をキープしている方々の話を聞いていて一番のメリットとして語られるのが、遅延欠航時の優先対応と言われています。
例えば、旅行でも出張でも海外から日本へ戻る場合、または海外へ行かなければいけない場合、地方から戻る行く場合など天候不順の多い日本だと年間何度も飛んでいれば大幅な遅延や欠航にぶつかってしまう場合もあります。
このときにその便に乗っている人全員が次の便に振り替えられないか一斉にカウンターへ詰め寄るのですが、座席の枠は極めて限定されているため、優先順位を付けた上で振り替えていくことになります。このときに原則として最優先で対応してもらえるのが、自社の最上級会員ということになります。
やはり会社の重要なポジションに就いている方など、ダイヤモンド会員の多くの人にとって、このメリットは価格換算できない極めて大きいメリットとして映っているのは確かですね。
なお、SFC会員は一般会員に比べれば優先されますが、実質的にどの程度の優先対応がされるのかは欠航時の状況や上級会員の人数などにも依存するため、SFC修行への直接的なメリットとなるかどうかはよくわからないところです。
留意点①:提携特典航空会社の解放数は会員ランクに無関係
提携航空会社特典航空券は上級会員だろうと非上級会員だろうと特典航空券の解放数に違いはありません。あくまでANA便のみ特典航空券の開放数が広がるという話です。
留意点②:昨今の特典航空券はほとんど空席待ちのため予約するのが難しい
私は2015年あたりから特典航空券の予約状況などをウォッチしていますが、2020年2月現在、ものすごく特典航空券は予約しづらくなったと感じています。私が非上級会員であることは一つの理由だとは思いますが、それ以上にソラチカルート(2019年12月に閉鎖済)などにより非常に多くの人がマイルを保有するようになった証拠なのだろうと考えています。
その4:獲得できるマイル数が上がる
上級会員になると、獲得できるマイル数が上がります。獲得できるマイル数は以下のとおり。
- ダイヤモンド会員:120%(1年目)、130%(継続2年目以降)
- プラチナ会員:95%(1年目)、105%(継続2年目以降)
- ブロンズ会員:45%(1年目)55%(継続2年目以降)
- SFC会員:35-50%(クレジットカードの種類により異なる)
さすがに、プラチナ会員を継続するほど、航空会社に頻繁に乗っていないため、ブロンズ会員と比較しても加算ボーナスは少ない傾向となりますが、一般の会員と比べると多くのマイル数がもらえます。
マイルを獲得することで特典航空券を発券できるようになるため、さらに旅行に行く回数が増えることとなり、上級会員になって飛べば飛ぶほど旅行の回数が倍増していくことになりますね。嬉しい相乗効果ではないでしょうか。
その5:SFC修行そのものが(きっと)楽しい
昔から色んな方がSFC修行をされていますが、その多くの方がSFC修行そのものをエンジョイされています。さすがに家族そろってSFC修行される方は極めて稀で一人旅状態なのが一般的ですが、いろんな場所に数時間滞在して戻るという極めて特異な経験を楽しんでいる方がほとんどです。
うらやましいかどうかは別としてそういったタッチ旅行そのものを楽しめる方であれば、高額なSFC修行そのものもメリットと言えるのではないでしょうか。
留意点①:修行の予算は50万円前後が一般的
比較的多くの方は、PP単価と呼ばれる上級会員に必要なポイントをいくらで取得できるか、という点に着目して航空券を発券します。その中でも、2016-2019年あたりの相場だと、PP単価10円前後のSFC修行を組まれているケースが多いと言えます。
SFC会員の要件であるプラチナ会員資格を満たすために、約50万円近くをフライトに費やすこととなりますが、5万マイル近くが還元されるため、修行後もさらに特典航空券で旅行を楽しめることになります。
留意点②:プラスアルファとして現地滞在費がかかってくる
こういったマイルで還元される副次的効果もSFC修行のハードルを下げる要因になっているのではないかと感じていますが、その一方でプラスアルファの現地滞在費(ホテル、飲食費など)がかかってくるのは明らかです。
その場合、決して50万円で収まる話ではありません。あくまで航空券だけの話なので、最終的な予算については十分注意する必要があります。
50万円を私が使うなら・・・
さて、私自身は50万円を仮に旅行関連で利用するならタッチ旅行ではなく、普通の旅行費に浸かったり、むしろ旅行の際のホテルグレードを上げたりバイマイルに使ってしまう派だったりします。
結構今まで苦痛なフライトも多かったので、あまり年間で国際線を利用せず、仮に国際線を利用する場合にはビジネスクラスを利用してしまうことの方が多いので、なかなか修行という発想にはなりませんね。
国内線はフライト時間も短いですし、手続きも少ない為、上級会員らしいメリットをあまり感じることもないかと思います。
補足的理由①:半永久の上級会員になれる
さて、なんだか決定的な理由が欠けているような論調となっていますが、日本の航空会社(JALとANA)では上級会員になったときに指定のクレジットカードを申し込むことで、SFC会員になれることが知られています。
さらに、翌年度に上級会員資格のフライト要件を満たしていない場合であっても、上級会員として扱ってもらうことができます。細かいランクという観点では、フライト要件を満たしたプラチナ会員と若干の差別化がされていると聞いていますが、上級会員で受けられる大きなメリットのほとんどは享受することができます。
半永久にメリットを受けられる代償として、多くの人が年間1万円以上ゴールドカードの年会費としてカード会社に年貢を納めることになりますが、年会費を払うだけで上級会員を維持できる点を考えると、非常に魅力的な選択肢と言えますね。
補足的理由②:国内ANA・IHGグループのホテル宿泊が優遇される
直接的な理由になるとは思いませんが、ANAの上級会員であるSFC会員になると国内のANA・IHGグループのホテル宿泊が優遇されることが知られています。宿泊料金がベストフレキシブル料金から10%オフとなったり、朝食が無料で付いてくるなど非常にお得な特典が付いてきます。
まとめ:お金と時間に余裕がある人の選択肢
素晴らしいメリットが沢山ある上級会員はやはり憧れの存在であり、あのステータスタグを持っている人をうらやましく感じる方もきっと多いのではないでしょうか。
(一部では社畜の証と揶揄されることもありますが笑)
もちろSFC修行の一番のネックは約50万円(旅行全体含めればそれ以上)の費用と修行に費やす時間がネックと言えます。修行が終わったら終わりではなく、修行で獲得した上級会員資格を活用するために、さらに旅行に行くことを考えるとさらに出費がかさむのは言うまでもありません。
プライベートで修行をする時間を確保するため、何度も土日がつぶれてしまうケースも多く、さらに修行後に上級会員資格をエンジョイするために、さらに休日を潰して旅行に行くことを考えると時間的な側面も極めて大きいと思います。
そういったお金の面や時間の面に相当な余裕があるのであれば、家族の了承を得たうえで修行するのはきっと楽しいでしょう。特に、ある程度仕事の中でPPやフライト数を稼げるのであれば、よりハードルが下がってくると思います。
私個人は残念ながら、上級会員でないので、修行して良かったなどと言うことはできませんが、これから修行して上級会員を目指そうかどうか検討されている方に何かしら響けばいいかなと思います。以上、ご参考まで。
P.S.次回はSFC修行をやるべきでない理由も公開したいと思います。
だいぶ前の話なのですが、(経由地として)ニューヨークに行く予定が決まり、どうやって足を確保しようか考えていたところでした。以前からアラスカ航空(のマイレージプログラム)を頻繁に利用していたこともあり、キャセイパシフィック航空のファーストクラスとJALファーストクラスのどちらで行こうか当初悩んだのですが、ルーティングの関係もあり今回はJALファーストクラスを発券するに至りました。マイラー会では非常に有名な発券方法であるアラスカ航空によるJALファーストクラスの予約について今回は解説します。JALファースト… 【特典航空券】アラスカ航空でJALファーストクラスを発券する – 万国旅行塾・読書塾 |
今回は久しぶりにANAマイルを使って特典航空券を発券したので、紹介したいと思います。発券に至るまで、いろいろと紆余曲折があったのですが、これはこれで満足行く旅程が組めたので個人的には満足しています。また、初のタイ国際航空ファーストクラスというのも楽しみたいですね。ルーティング・必要マイル数 114,000マイル(ANA)・諸費用 約8,000円・航空会社 タイ国際航空・ルート:HND-BKK-SIN-BKK-HND・往路①:羽田~バンコク Boeing 747 ファーストクラス・往路②:バンコク~シンガポール Boeing 787 ビジネスクラス(ロ… 【特典航空券】ファーストクラスで発券。ANAマイルで行くアジア周遊の旅 – 万国旅行塾・読書塾 |