【豆知識】日本を100人の国に例えてみた

10月4日に厚生労働白書が厚生労働省から公表された。これは、日本における高齢化の実態や、健康保険制度の適用状況、老後の働き方などをアンケートや統計調査によって、集計した資料である。

その中でも、「日本を100人の国に例えてみた」を同時に公開しており、現在の日本の状況がよくわかる資料となっている。

今回は、その中でも一般常識として、ちゃん正しく理解しておいた方がいいポイントを個人的主観でピックアップしてみる。

日本の人口を100人で例えてみる

男女の人数

性別は1:1の割合という認識をしている人は比較的多いだろう。ただ、統計上は明らかに異なる結果がでている。

日本を100人で例えた場合、男性は48.6人、女性は51.4人となる。

すなわち、女性の数の方が若干多いのである。

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このこと自体は不思議なことではなく、女性の方が死亡率が低いことに要因がある。男性は平均寿命が約81歳であるのに対し、女性は平均寿命が約86歳だからだ。

なお、このことに影響は与えないが、出生時の男女比は男子が5%ほど高い割合で生まれてくることが統計上知られている。生物学的に女性の方が長寿であることから、出生者数では男子の割合が高くなるという、この事象を見ると、遺伝子情報というか生命の神秘というか、このカラクリは驚かざるを得ない。

各年齢の割合

日本を100人で例えた場合、15歳未満は12.7人となり、65歳以上は26.7人となる。なお、65歳以上のうち、75歳以上は12.9人いるとのこと。

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すでに日本の高齢化、長寿化については以前記事にもしたことがあるが、すでに現在の日本の人口の25%は65歳以上であるのだ。4人に1人は65歳以上。この数字をどう捉えるべきか。

日本の将来の人口については、頻繁にニュースで取り上げられることもあるため、知る人も多いと思われる。ただ、具体的に改めて確認しておくことでニュースで取り上げら...

日本の高齢化はまだまだ進行する予定であり、2060年には、人口の40%が65歳以上となる日が来ることも予測されている。もう恐ろしいとしか言いようがない。

日本に限らず、ここ10数年間で先進国の長寿化が大きく進展してきた。特に、アジア圏の香港や韓国の伸び率は著しいものがある。ただ、それらの国や都市は日本と同様、高齢化によるシワ寄せを受けることとなり、将来的な社会保障費の増加や労働人口の減少など様々な課題に直面することが日本の例から容易に想像が付く。日本を反面教師として、どのように対処するのか。

日本の雇用を100人で例えてみる

労働者の人数

日本を100人で例えてみると、仕事に就いているのは100人中たったの50.2人となる。そのうち雇われているのは44.4人、自営しているのは4.3人という数字となる。

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いやはや、自分もこの数字を見たときにさすがに少なすぎるような気がしたが、実はそうでもないことが他の数字から見て取れる。
例えば、

先の数字で、15歳未満が12.7人、65歳以上が26.7人という数値がある。合計すると、39.4人。すなわち、15歳以上64歳未満の者が約60人ということ。

また、この60人の中には、高校生やアルバイトをしていない大学生、仕事に就いていない生活保護受給者、障害給付金の受給権者、パート等もしていない専業主婦などの第3号被保険者などが含まれている。そのため、60人のうちの50人(すなわち、約8割強)が働いているという数字感は決して不思議なものではないだろう。

なお、雇われている者44.4人の中で、雇用形態は パート 7.6人、アルバイト 3.2人、派遣 1.0人、契約社員・嘱託 3.2人となっており、これら数字を除いた29.4人は正社員と考えられる。

長時間労働の人数

労働時間数で人数を区切ると、週35時間未満15.3人、週60時間以上4.3人となっている。

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週60時間以上は、たったの4.3人という数字だ。これにもちょっと驚かざるを得ない。数字の魔法というか、実態はなんなんだろう、と思ってしまう。一応、肌感覚に近いように数字を見回してみると、少し感覚と合ってくる。

先ほどの例で示したとおり、雇われで働いている者は44.4人である。しかも、週35時間未満の短時間労働者(厳密には短時間労働者の定義には当てはまっていないと思われるが)、15.3人いる。そのため、それらの数字をここから除くと、雇われてで働いており、週35時間以上勤務する者は29.1人だ。そのうちの4.3人が長時間労働者

週60時間の勤務は、5営業日で言うと、一日平均4時間以上の残業。9:00~18:00を定時とする会社の場合、22:00以降まで勤務することとなる。大手金融機関やIT系の会社、コンサル業などの多くはここに該当する可能性が高い。もし年間を通じてこの水準であれば、相当の長時間労働と言える。

さらに、週80時間の勤務は、5営業日毎日24時まで働き、土日のどちらかを休日出勤しているレベルだ。ここまで来ると、かなり深刻な長時間労働と言えよう。

おさらいすると、雇われてで働いており、週35時間以上勤務する者は29.1人だ。そのうちの4.3人が週60時間を超える長時間労働者である。これは、正社員として働く人の約15%相当が長時間労働を強いられている(または受け入れている)現状を指す。

ちなみに、月曜から金曜まで平均して21時過ぎまで働く人はここにカウントされない(ギリギリ週60時間未満のため)。そのことを考えると、4.3人に含まれないが、長時間労働予備軍にいる層は相当数いるのではないだろうか。



日本の福祉・年金を100人で例えてみる

生活保護受給者

生活保護受給者は、100人中1.7人という数字。

この数字を大きいと見るか、小さいと見るかはかなり議論の分かれるところではあるが、人口1億2千万人と考えた場合に200万人以上が対象となっていることとなる。ここでは、生活保護受給者がこれだけいる原因の詳細について、述べるつもりはないが、もう少し減ってほしいものである。

国民年金の被保険者

国民年金の被保険者(いわゆる国民年金に加入している人)は、以下のとおり。

  • 20歳以上の自営業者や学生が対象となる第1号被保険者 13.7人
  • サラリーマンや公務委員等が対象の第2号被保険者 30.6人
  • 専業主婦等が対象の第3号 7.3人

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すべて合計すると、51.6人であり国民の約半分が国民年金の対象となっている。それ以外は何かと言うと、20歳未満の者と高齢者となる。

国民年金の受給権者

国民年金は法律上定められた年齢(現在は65歳)になると、老齢基礎年金が支給される。そして現在、老齢年金の受給権者は100人中24.9人という数字である。国民の4人に1人が年金を受け取って生活をしている。

いやー本当、どうしようもなく多い。彼らの年金(老齢基礎年金)の約50%が税金で賄われていると思うと、非常に現役世代に不都合な仕組みだなぁ、と思ってしまうがそういう仕組みなのでしょうがない。

※なお、老齢厚生年金(報酬比例部分)は税負担はないとされている(事業主掛金、従業員掛金、積立金からの運用収益でカバーされている)

日本の医療を100人で例えてみる

健康状態の良し悪し

今回のアンケートでは、健康状態についても統計として数値が記載されている。
健康状態が「よくない」「あまりよくない」と感じているのは100人中、13.4人とのこと。

全体の約1割以上が健康状態を不調と感じているのは、危機的状況か!と解釈することもできるが、健康状態の良し悪しなんてものは、感覚値としかいいようがない部分が多いので、あまり当てにならない(少なくとも私はそう思う)。

また、根本的な数値として、高齢者が全体の25%を占めているにも関わらず、たった1割程度であれば、むしろいい方だ、というのが本当のところではないだろうか。

日常生活の悩み・ストレスを感じている人

こちらはかなり深刻な数値がでている。日常生活の悩み・ストレスを感じているのは、100人中なんと48.1人。全体の半分だ。

しかも気を付けてこの数字を見てもらいたいが、今現在、労働者なり自営業として働いている人は国民全体のたった45%しかいないことが前述した数字からわかっている。

すなわち、若い人も高齢者も含めて、悩み・ストレスが蔓延しているのが今の日本の現状ということだろう。

まとめ:やはり高齢化による数値が顕著に見えてくる

これまで見てきたとおり、どの数値をとっても高齢化が顕著に表れているように思える。社会を支える現役世代が減り続け、付加価値を生み出せない高齢者が増加し続けている。

年金制度や社会の様々な仕組みもそうだが、経済の成長をなくしたら、あらゆるものが成り立たなくなってしまう。

将来的には高齢化率は40%を超えることがすでに予測されているが、そのときになってもこの100人でみた日本を厚生労働省は公表し続けてくれるのだろうか。

マスコミの格好の的となるのは、言うまでもないが、現状を簡便的に認識できる資料とも言えるので、実は有用な資料であったりする。ご参考まで。

平成28年版厚生労働白書 -人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-(100人でみた日本、日本の1日)

公的年金にまつわる様々な誤解は時代とともに多様な変遷を遂げてきた。最近では、公的年金破綻論を唱える謎の経済学者や評論家がずいぶんと淘汰され、あまり聞かなくな...


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