年金保険料を払わないともったいない5つの理由

サラリーマンの人であれば、給料から天引きされる保険料があり、アルバイトやパートの人であれば、毎月支払わなければいけない国民年金保険料がある。いずれも給料の約10%前後を支払わなければいけない金額となっており、かなりの負担額だ。

昨今よく聞かれる「本当に将来年金はもらえるの?」という疑問が数多く聞かれるが、公的年金の保険料を払っておいた方が将来的にお得となるケースが多いのも事実。今回は保険料を払うメリットを紹介したいと思う。

公的年金制度の仕組み

メリットについて話す前に、まず基本的な公的年金制度の仕組みを理解しておこう。

公的年金制度は2階建ての年金制度であり、その上に私的年金である個人年金や企業年金などの3階部分が上乗せとして存在する。国民年金、厚生年金、個人年金/企業年金とそれぞれが存在し、加入者の範囲や給付額の水準が異なっており、それぞれが補完し合う形で成り立っているのが日本の年金制度だ。


(厚生労働省ホームページより)

  • 1階部分:国民年金
    現役世代はすべて国民年金の被保険者となり高齢期となれば基礎年金の給付を受ける。日本在住の20歳以上の者に加入義務が発生する年金制度。
  • 2階部分:厚生年金
    民間サラリーマン、公務員とは厚生年金保険に加入し報酬比例の年金給付を受ける。
  • 3階部分:個人年金/企業年金
    希望する者はiDeCo等の個人年金に加入し、さらに上乗せ給付を受けることができる。また、サラリーマンや公務員などは勤め先の年金制度から給付を受けることができる。

保険料はそもそもいくら?

年金制度の目的は、制度に加入している人が定年を迎え、老後になったときに年金を支給することで人々の生活を支える仕組みだ。

年金を支給するためには、もちろんその財源が必要。国民年金、厚生年金、個人年金/企業年金それぞれで財源の集め方はやや異なるが、基本的には年金制度に加入している人(企業年金は主に事業主)から保険料という形で徴収するのが一般的である。

国民年金制度の保険料は一律全員定額

国民年金制度の保険料は平成30年度で(所得が高かろうが低かろうが)全員定額の16,340円。保険料の金額は、賃金水準によって変動するため、毎年この金額という訳ではない。

なお、平成30年度までは、過去の法改正により保険料は段階的に引き上げられることが定められており、15年前の国民年金保険料と比較すると1.5倍近くになっている。若い人には大変不幸な話だが、平成30年度以降は世間の賃金水準・物価水準の変動を除けば基本的に同額の保険料とする仕組みとなった。

厚生年金制度の保険料は給与の一定割合を事業主と折半

厚生年金制度の保険料は平成29年9月以降18.3%である。国民年金と同様、平成30年度以降の保険料率は固定化されることとなっているため、これ以上保険料率が上げられることは現在の年金法令上、定められていない。

なお、給料の18.3%が保険料で徴収されるというのは、正確ではなく、18.3%を会社と従業員で折半する形となる。そのため、個人が負担する額は給料の9.15%となる。

個人年金の保険料は?

ここで片手落ちとなるが、個人年金について簡単に述べておきたい。個人年金は国民全員強制加入というものではないため、将来訪れる老後のために備えたい人が自発的に保険料を拠出する仕組みだ。そのため、iDeCoの場合、加入者自らが法令で定められる範囲内で掛金額を設定することとなる(企業年金への加入有無等の要件によって、最大68,000円/月額の保険料が拠出可能)。

保険料は払った方がお得なの?

保険料は払った方が得か損か、という話は昔からあるが、筆者の視点ではかなり多くの人がお得となるケースが多い。もちろん早死にしてしまった場合には、年金はもらえないものの、どういうケースでお得になるのか、5つのポイントを紹介したい。

その1 支給される年金の半分は税金/会社の保険料でまかなわれている

今となっては有名な話だが、国民年金(老齢基礎年金)の半分は税金でできていることが知られている。国民から徴収した保険料でまかなっているのは、年金給付の半分までとなっており、残りの半分を消費税や所得税などの国庫負担でまかなっている。

また、厚生年金の報酬比例部分については、保険料を事業主と従業員で折半しているのはご存じだろうか。厚生年金に加入していると、通常65歳から老齢厚生年金が支給される。この老齢厚生年金の給付原資はもちろん保険料からなのだが、国庫負担が使われているわけではなく、事業主と従業員の保険料でまかなっているのが実態だ。

そのため、年金の半分は自分が拠出したお金ではなく、国庫負担/事業主からの保険料でまかなわれており、保険料を払わず将来年金を受け取らない/少ない金額を受け取るのはもったいない、という話になる。

その2 終身年金をまともに確保できるのは公的年金だけ

国民年金・厚生年金が提供する老齢基礎年金、老齢厚生年金は死ぬまで年金を受け取ることができる終身年金だ。実は、なかなか終身年金を自力で用意することは難しいことが知られている。

民間の生命保険会社が提供している終身年金保険を購入した場合、保険料の元本を回収できるのは90歳を超えるケースになってしまうなど、とても個人が利用しやすい商品が提供されていないのが現実だ。

これは、民間生命保険会社の場合、商品設計の際に使用する付加保険料(代理店手数料や利潤率等を加味するのが通常)、計算基礎率の死亡率に安全割増が掛けられているため、割高な商品になってしまっているためだ。

その3 将来寿命はもっと伸びる

現在の日本人の平均寿命は男性81歳、女性86歳であることをみなさんはご存じだろうか。しかもこの平均寿命は、公的研究機関が人口統計学に基づいて予測した結果によると、さらに伸びていくことが予想されている。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2065年の日本人の平均寿命は男性で85.0歳、女性で91.4歳となることが予想されている。公的年金は通常10年程度の受給期間があれば、元が取れる計算となっているため、現状の65歳から年金を受け取れば、75歳まで生きていれば大体元本以上となる仕組みなのだ。

これは国民年金のみで計算すると、

  • 支払保険料総額≒16,500×12ヶ月×40年=7,920,000円
  • 老齢基礎年金(年)=780,000円
  • 7,920,000円/780,000円=10.2年

となる。マクロ経済スライド・物価スライドの影響や厚生年金保険料の計算とは厳密に異なるため、正確に一致するものではないが、概算としては十分参考になる数字だろう。

もちろん75歳前に死亡してしまった場合は損となるが、全体として75歳以上まで生きる人が多い以上、社会全体としてお得な人が多くなるため、メリットの大きい制度と言わざるを得ない。

その4 年金制度は障害補償・遺族補償付き

国民年金加入中に事故などで障害を患った場合には、国から障害年金を受け取ることができる。国民年金のみ加入していた場合は、障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されることとなる。

また、国民年金に加入していた人が死亡した場合には、死亡した人と生計を維持していた子のある配偶者/子に遺族基礎年金が支給される。”生計を維持していた”と定められているが、一般的に”死亡した人の収入で暮らしていた”と解して問題はない。

厚生年金に加入していた人が死亡した場合には、遺族基礎年金の他に、遺族厚生年金が支給される。こちらも生計を維持していた妻、子、孫や高齢の夫、両親などが支給対象となる。

遺族基礎年金、遺族厚生年金の支給要件や年金額についてはここでは割愛するが、詳細については日本年金機構のホームページを参照していただくと良いだろう。

その5 厚生年金に入る旦那さんの奥さんの年金はタダ同然

旦那さんがサラリーマンで、奥さんが専業主婦(または厚生年金に加入していないパートやアルバイト)である場合、厚生年金保険料は旦那さんの給料明細から天引きされて支払われていることが一般的だ。もちろんこの天引きされる厚生年金保険料に奥さんの分の保険料が含まれているわけではない。

この場合、旦那さんが定年まで勤めあげて、65歳(年金の標準的な支給開始年齢)に到達したとき、旦那さんへは老齢基礎年金と老齢厚生年金(奥さんが65歳未満であれば加給年金も加算)が支払われる。

一方で、奥さんが65歳になると(加給年金はなくなってしまうが)奥さん自身の老齢基礎年金が支給される仕組みとなっている。奥さんは国民年金/厚生年金の保険料を専業主婦であった期間は支払っていないにも関わらず、65歳以降は年金がタダでもらえる、という非常にお得な制度となっているのだ。

まとめ:公的年金の保険料納付は義務。制度を最大限活用しよう!

今回は、公的年金の保険料を納めるメリットを中心に紹介させていただいたが、その一方で「デメリットはないの?」と思った方も多いだろう。もちろん筆者は公的年金には大きな欠点が存在していることも知っている。

いつまで生きるのか、という問題は個人ではとてもコントロールできない問題のひとつだ。そういったリスクに対処するために公的年金は社会保障としてその役割を担っている。

保険料を支払うのはかなりの負担ではあるが、将来への備え、また、日本に在住する者の義務として保険料を収めるしか選択肢はない(納付免除の仕組みももある)。もちろん、どうせ払うのであれば、その制度を最大限活用するのが望ましいのは言うまでもないだろう。

非常に重要な役割を果たす公的年金ではあるが、次回はそのデメリットについても紹介したい。以上、ご参考まで。

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