最近よく聞くGPIFって何?

つい先日ニュースにもなったが、GPIFの運用損が今年は話題になっているようである。チャイナショックの際にも話題になり、年初からの株安でも話題となったが、そもそもこのGPIFがそもそも何なのか一般の人々に理解されているのだろうか。

今回はGPIFの役割やどのような運用をしているのか、解説していきたい。

GPIFとは何か

GPIFは正式名称、「年金積立金管理運用独立行政法人」のことである。英語表記では、Government Pension Investment Fundとなるので、GPIFと呼ばれている。しかしながら、正式名称だけ聞いてもさっぱりの人が大半なのではないだろうか。「年金積立金管理運用独立行政法人」とは何だということで、この機関の役割を簡単に紹介しよう。

年金積立金管理運用独立行政法人

http://www.gpif.go.jp/

GPIFの役割とは何か

GPIFの主たる役割は厚生労働大臣から寄託を受け、年金積立金の管理・運用を行うことである。そして、運用によって得た収益を国庫に納付することで、公的年金の運営をより安定させることが目的となっている。

(なぜ賦課方式である公的年金に積立金があるのかという特異な疑問については別の機会で記事にしたいが、今回は細かい点は無視して公的年金には現に積立金がありそれをせっせと運用して増やすのがGPIFなのである)

また、GPIFの運用方針は、基本ポートフォリオと呼ばれる資産構成割合を定め、これを適切に管理するなど、安全かつ効率的な運用に努めることとされている。

20160408年金

(出所:年金積立金管理運用独立行政法人HP)

積立金は「長期的な観点」に基づいて運用される

日本の公的年金制度は、サラリーマン、自営業者などの現役世代が保険料を支払い、その保険料で高齢者世代に年金を給付するという「世代間扶養」の仕組みを取っている。

将来、現役世代が年金を受給する世代になったときには、その時の現役世代の保険料が年金に充てられることになる。そのため、自分が積み立てた保険料が将来年金として戻ってくる仕組みではない。

しかし、日本は少子高齢化が急激に進んでおり、現役世代の保険料のみで年金を給付すると、将来の現役世代の負担が大きくなってしまう。そこで、保険料のうち年金給付に充てられなかったものを年金積立金として運用し、その運用収入を年金給付に活用することによって、将来の現役世代の保険料負担が大きくならないようにしている。

GPIFは、年金積立金を「長期的な観点から安全かつ効率的に運用」をすることで、公的年金財政を支える役割を担っている。

どのような資産構成(ポートフォリオ)なのか?

以下が、GPIFの直近の資産構成割合である。主に国内債券が4割弱を占めてはいるが、国内株式、外国株式も合わせて4割を超えていることがわかる。

20160408年金2

(出所:年金積立金管理運用独立行政法人HP)

これまでのGPIFの運用パフォーマンスはどうなの?

平成13年度からの運用結果は以下の表のとおりである。

20160408年金3

(注)平成27年度については、4月~12月までの期間となっている。

(出所:年金積立金管理運用独立行政法人「平成27年度第3四半期運用状況」より筆者作成)

このように図で見てみると、直近では50兆円ほどの運用益が出ており平成13年度と比較して大幅な増益が出ていることがわかる。ただ、これまで必ずしも順調な運用ができていたというわけではなく、平成13~14年度のマイナス利回りや平成19年度~平成20年度の運用結果は大幅なマイナスとなっており、大きく資産を減らした時期があるのも事実のようである。

GPIFの運用損失はなぜ批判されるの?

GPIFが具体的に行っている業務は「基本ポートフォリオの策定」と「実際の運用」である。

「基本ポートフォリオ」を策定するのは厚生労働大臣が定める外部の学識経験者で構成される運用委員会であり、直接的に決定されているものではない。運用委員会の名簿も公開されており、具体的にどのような人物が関わっているのかもホームページ上で確認することができる。

「実際の運用」についてだが、運用手法は大きくアクティブ運用とパッシブ運用に分かれるが、8割以上をパッシブ運用で運用しているのである。ここでパッシブ運用を簡単に説明すると、「より低いリスクで市場のインデックスに追随させる運用手法」のことである。したがって、市場のインデックスが下落すれば、否応なくGPIFの運用実績も下がることとなる。

もう一つ言えば、GPIFが自主的に株式を購入しているわけではない。GPIFは投資顧問会社や信託銀行に運用を委託しているのであって、彼らのパフォーマンスが低いためにGPIFの運用実績が低いという図式なのである。

筆者的には、公的な資金で運用損失を出し、なおかつさらに手数料を回収し自らの私腹を肥やす運用委託会社にこそ責務があるような気がするが、こういう仕組みである以上仕方がない。

日本の公的年金は運用がなければ、そもそも成り立たない仕組み(運用益がなければ、給付水準が政府目標の所得代替率50%を保つことができない)であるため、運用はしないといけない運命なのである。ときには運用損の年度もあるだろうが、長期的に必要水準の利回りを確保することが重要であり、短期的に一喜一憂して方針を乱すものではない。

なぜ株式投資割合を増やす必要があるのか

先日、GPIFは基本ポートフォリオの株式比率の高める変更をしたことが話題となった。だが、そもそも株式比率はなぜ増やす必要があるのだろうか。これまでのポートフォリオではダメなのだろうか。

GPIFのホームページのよくあるご質問にも

「なぜ株式に投資するのですか。もっと安全に運用すべきではないですか。」とある。

この問いに対する答えは、株式比率を高めることへの回答ではないが、筆者が思うに以下のような理由が主たるものでないだろうか。

日本の株式市場へのマネー投入

実はGPIFが運用している資産の額は世界的に見ても極めて非常に大きな金額を扱っている。以下は、世界的な政府系ファンドの運用資産額のランキングであるが、GPIFの金額がトップとなっている。ここまでの大きな金額が動くのであれば、株式市場に与える影響は並みならぬものがあると考えられる。

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(出所:Willis Towers Watson “Global Pension Assets Study 2015″より筆者抜粋)

海外の政府系基金と比較しても低い利回りの改善

実は、海外の政府系基金と比較するとGPIFのこれまでの運用利回りは低い水準であると指摘されている。日本の年金制度は少子高齢化でもあり、運用利回りによる財政下支えが大きな効果となることからも、利回りを上げたいとも思われる。

海外の公的年金の運用状況はどのようになっていますか。

海外の年金基金では、株式比率がGPIFと比べて非常に高いのが特徴である。そのため運用損益も年度によって大きく変動しており、トータルではプラスになっているのかもしれない。しかし、GPIFが同様の運用結果をした場合には多大なる批判が起きることは容易に想像がつくことであるし、それが政治的な道具に用いられるのが関の山ではないだろうか。

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