日本年金数理人会「IAS19に関する数理実務基準」の公表

今回は企業年金の退職給付会計に関する話題である。
(2016年)3月28日に日本年金数理人会より「IAS19に関する数理実務基準」が公表された。これまで退職給付会計における数理計算においては、
ASBJ(企業会計基準委員会)が公表している

・「退職給付に関する会計基準」
・「退職給付に関する適用指針」

日本年金数理人会が公表している
・「退職給付会計に関する数理実務基準」
・「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」

等に従って業務が行われている。

これまでは国際的な基準による数理計算の日本での実務基準がなかった

これまで年金数理人会およびアクチュアリー会はIAS19の計算実務について特段明確なアナウンスはしていなかった(と認識している)。そのため、形式的にはISAP3(国際数理実務基準)を計算受託者が解釈した上で、報告をしていた現状だった(すなわち年金数理人会等に所属する者の立場ではなく、一個人として該当実務基準に従い計算していたという解釈となる)。

数理実務に特段の大きな変更はない?

この公表をもって、退職給付債務の計算実務がガラリと大きく変わるものではないと筆者は予想している。だが、アクチュアリーの計算報告書の記載量は少なくとも増えざるを得ないのだろう。ざっと公表された文章を読むに、これまで以上に免責にかかる手続きや文章が多くなることが予想できる。
IFRS導入をしている企業や検討をしている企業の人事・財務担当者の視点で言えば、自社で退職給付債務を計算していない限り大きな作業は発生しないとは思われるが、計算用データの瑕疵や計算の前提根拠などは免責事項であると報告書に明記されるため、これまでどおり判断根拠や取扱いには慎重さが求められてくるのだろう。

年金数理人は退職給付会計で活躍の場を見出せるのか

数年前までは資産上限の計算で参照されるIFRIC14や今回の実務基準の元となっているISAP3など聞いたこともなかったが、今では専門家なら知っていて当然と思われるのは仕方ないことである。筆者の肌感覚では、厚生年金基金もほとんどがなくなってしまい年金数理人の必要価値が一段と下がっている印象がある。年金数理人が活躍する場というと綺麗ごとになってしまうが、少しでも付加価値を見出せる場所を残すことはこれからの時代、どんな職業においても非常に大切なことなのだろう。

「IAS19に関する数理実務基準」の公表
http://www.jscpa.or.jp/news/detail.php?id=184

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