日本の年金制度の税制まとめ

日本には多数の年金制度が存在しており、それぞれに適用される税制もまた異なっている。大きい方向性は統一化されているものの、個別には取り扱いが異なる部分も多い。今回は日本の年金制度の税制について簡単に紹介したい。


2016年3月現在、大まかには以下のような取扱いとなっている。

図0320_3.png

拠出時、事業主側は損金算入、加入者側は社会保険料控除等の税制優遇措置あり

年金制度を活用するメリットの一つに拠出時非課税の税制優遇がある。事業主側は年金制度への掛金を損金算入することが可能であり、個人事業主の場合は掛金を必要経費に含めることができる。一方で加入者が拠出する掛金は年金制度の大部分は社会保険料控除等の税制優遇を受けられるが、企業年金である確定給付企業年金の加入者掛金・個人年金保険の掛金については生命保険料控除が適用される。

生命保険料控除は2016年3月現在、限度額が4万円までとされており、掛金負担者のほとんどが非課税の範囲を超えているのではないか。なお、確定給付企業年金の加入者掛金は、課税タイミングが異なり給付時に非課税となる。

とにかく手厚い退職所得控除!

会社が企業年金を実施している場合には退職金を年金で受け取るか、一時金で受け取るか選択できる場合がある。一時金で受け取る場合には退職所得として課税されるわけだが、その課税計算式を見ていくといかに退職所得が優遇されているかがわかる。

退職所得の課税のしくみは、退職一時金支給額から退職所得控除額を控除した額の2分の1の金額が退職所得として課税される。

税額 = (退職一時金等支給額 - 退職所得控除額) × 1/2 × 税率

ここで、退職所得控除額は以下の表の計算式に基づき算出される。

図0320_4.png

図で示すと以下のとおり。

図0320_1.png
(出所:厚生労働省「平成25年 就労労働条件調査」。平均退職金額は定年と自己都合の金額比より作成)

おわかりだろうか。日本の退職所得控除額は、定年時の退職金額のほとんどをカバーできる程、非常に高い金額となっている。大学を卒業してから、60歳定年を迎えるまでに38年勤続することになるが、その場合であっても、定年時の退職所得控除額は2,130万円もの金額となり、退職金額のほとんどが非課税で受け取れることになる。

公的年金等控除は控除枠が低い点に注意

一方で会社の退職金を年金で受け取る場合や公的年金の受給は雑所得として課税されることになる。その場合、公的年金等控除が適用され幾分か課税所得は下がることになる。算定式は以下のとおり。

図0320_5.png

こちらも図で示すと以下のとおり。

図0320_2.png
(単位:万円)

こちらは65歳未満と65歳以上で控除額が異なるものの、一定の収入額を超えると同じ扱いとなる。65歳未満の場合、控除額の下限が70万円に設定されているが、65歳以上である場合は120万円と高めに設定されている。おそらくではあるが、公的年金の支給開始年齢が65歳であることや、高齢者雇用安定法等により60歳以降も働きやすくなった現状があるが、現在でも65歳以降も働いて収入を得ることは難しいため、老後の所得保障を厚めに設定しているのだろう。

だが、国民年金(老齢基礎年金)の満額が年間78万円、厚生年金(報酬比例部分)が厚生労働省のモデル年金額だと約120万円であり、公的年金分だけで課税されてしまうケースは多いように思える。そのため、企業年金のような一時金を選択できる場合には、退職所得控除の恩恵もあるため一時金を最大限選択するのが現実問題お得だろう。また、自営業者等の第一号被保険者の場合は、厚生年金に加入していないため税制優遇枠を個人型DC等の退職後所得に充てることも賢い利用方法の一つだろう。

まとめ:この手厚い税制がいつまで続くのか

完全に個人の見解ではあり自身は税法の専門家ではないので詳しいところはわからないが、退職時の税制は非常に優遇されていると思う。もちろん老後の所得保障を直接的に左右するため、数少ない老後所得である年金に課税をするのは避けられるべきという理屈があるだろう。しかし、日本の借金が膨らみ続ける中、この退職所得の税制を聖域のようにすら感じ、いつか退職所得控除にもメスが入れられる日が来るのでないか、と以前同僚と話したのが記憶に新しい。

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