少子化STOP?日本の出生数が増加したのは本当か⁉

日本の出生数(いわば生まれてくる乳児の数)は年々減少しており、『少子高齢化に歯止めが効かなくなっている』というのは皆さんもどこかで聞いたことがあるのではないだろうか。先日厚生労働省により発表された人口動態統計によると、日本の出生数が昨年より増加したというではないか。嘘か誠かわからないが、今回はその内容について紹介したい。

日本の出生数ってこれまでどうだったの?

今年出生率が上がった話をする前に、これまでの日本の出生数はどうだったのだろうか。以下の図をご覧いただきたい。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

昭和20年代の第1次ベビーブームの際には、出生数は約270万もの高い水準にあった。その後、大きく数字は減少しつつも160万人前後の推移をたどりつつ再び増加に転じている。途中、丙午と呼ばれる大きく出生数が減少する年を挟むが、その後は第2次ベビーブームまで増加の一途をたどる。

丙午の年度に出生数が大きく減少することは、今ではほとんど語られていないようだが、当時の人々はそういった災厄を避ける傾向にあった模様。丙午については、こちらの記事で解説。

丙午(ひのえうま)って何?なぜ丙午の年には出生数が減少するの?

しかしながら、第2次ベビーブームを過ぎて以降は、出生数はずっと長期的に減少傾向となってしまう。平成17年には過去最低の出生率(合計特殊出生率)である1.27という数値にまで減少し、完全に日本は少子高齢化の呪縛から逃れられなくなっていた。




今年は0.2%の増加

実は、今年の出生数はわずかながら増加した結果が出ている。平成26年の出生数が1,003,539人に対して、平成27年の出生数が1,005,656人となり、2,117人の増加を果たした。割合でいえば0.2%の増加となる。

増加した要因などは正直わからないものの、このレベルでの増加は誤差の範囲という解釈とも取れるほど極めて小さい増加であるため、出生数減少が底打ちしたとは到底言い難い。平成25年以前の出生数を見ると、平成25年は1,030千人、平成24年は1,037千人となっており、今回出生数が増加したと言っても、一昨年以前と比較すれば明らかに少ない水準であることは確かだろう。

今回の厚生労働省の人口動態統計の報告では他にも人口に関する特徴がわかる数値が複数あるのでいくつか紹介しておこう。

出産年齢の高齢化が進行

厚生労働省のレポートにおいては、第1子出生時の母の平均年齢の年次推移が公表されている。以下の図をご覧いただきたい。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

これを見ていただくとわかるとおり、昭和50年には平均25歳前後で第1子を出産していたのに対し、平成27年では平均31歳で第1子を出産するという結果が出ている。

37年間という時のずれがあるので、その時代の社会環境や風習を考慮して比較しなければいけないのかもしれないが、6年以上遅くなっているのは紛れもない事実だ。第1子の出産年齢が遅くなるということは、第2子を出産することが難しくなる(またはできなくなる)ため、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む人数)は下がっていく傾向となる。

子供を何歳でもつかどうかはその家庭の自由であるのは言うまでもないし、何歳がベストだと学者達が騒ぐものでもない。ただ、事実として社会環境など複数の要因が子供を持ちづらい環境を与えているのは確かだろう。

ちなみに、自分の周りでは結婚年齢は20代前半~後半が多く、出産も20代前半~30代前半というパターンが多いような気がする。あながちこの数字は納得感は多少あるものの、家庭の状況によるというのは変わりない。筆者的には、「出産年齢が高齢化した」というよりも「晩婚化が昔より著しく進んだ」と解釈する方が今回の結果に納得感がある。

地方は出生数が高い傾向、都心部は低い傾向

これは非常に有名な話だが、地方ほど出生率が高い傾向にあり、都心部では出生率が低くなる傾向がある。

高い地方として、沖縄県が出生率2.0に近い水準で位置している。また、島根、宮崎、鳥取、熊本と西日本を中心に比較的高めの水準となっている。一方で、低い地方が東京、京都、埼玉、神奈川、大阪など都市部で出生率が低い傾向となっている。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より筆者抜粋)

死亡者数は年々増加

出生数以外に毎年の死亡者数についても公開がされており、年々どのくらいのペースで死亡者数が増えて行っているか以下の図に示されている。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

死亡数の年次推移をみると、昭和50年代後半から増加傾向となり、平成15年に100万人を超え、平成23年以降は120万人台となっている。75歳以上の高齢者の死亡数は、昭和50年代後半から増加しており、平成24年からは全死亡数の7割を超えている。

平成27年の死亡数は、129万人で戦後最多の数値となる。昨年と比較すると17,424人増加した。自然増減数は、△284,772人で過去最大の減少幅を示している。 こちらも昨年と比較すると15,307人減少している。もっとも出生数が100万人に対し、死亡数が129万人という数値であるため、この差が簡単に埋まるはずもなく今後も人口減少社会は続いていくものと思われる。

なお、社会保障・人口問題研究所によると、2060年頃には日本の人口は8,000万人になると推計されており、人口減少は大きな課題となっている。詳しくは以下の記事で解説。

2060年の日本の人口は8000万人!?

男性は早死にする傾向

ちなみに、男性の死亡率と女性の死亡率を比較すると男性の死亡率が高いことが有名であるが、この死亡者数においても全年齢区分で男性の方が死亡者数が多い傾向を示している。特に、15~29歳と55~79歳の年齢では、男性の死亡者数が女性の死亡者数を大きく上回り2倍以上の数となっている。

全死亡者数の3.5人に1人は悪性新生物で死亡

主な死因の年次推移をみると、悪性新生物は一貫して増加しており、昭和56年以降死因順位第1位となっている。平成27年の全死亡者に占める割合は28.7%であり、全死亡者のおよそ3.5人に1人は悪性新生物で死亡している。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

年齢別の死因をみると、5~9歳では悪性新生物及び不慮の事故、10~14歳では悪性新生物及び自殺、15~29歳では自殺及び不慮の事故、30~49歳では悪性新生物及び自殺がそれぞれ多くなっている。年齢が高くなるにしたがって、悪性新生物の占める割合が高くなり、男では65~69歳、女では55~59歳がピークとなっている。

また、全年齢平均で男性の自殺死亡率が26.5%であるのに対し、女性の自殺死亡率は10.8%と大きく差が開いている。諸説あるとは思うが、男性の方がメンタルが弱いという傾向もここに現れている気がしてならない。

晩婚化がさらに進行

婚姻件数は、635,096組で戦後最少を記録した。昨年から8,653組の減少となっている。また、平成27年の平均初婚年齢は、夫31.1歳、妻29.4歳で、夫妻ともに前年と同年齢となっている。

統計上の数値においても晩婚化がはっきり示されており、初婚年齢が平成7年から平成27年にかけて裾が広く後ろへ流れて行っているのがわかるだろう。以下の図は過去の婚姻件数の推移を示している。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

離婚件数は増加傾向するも一時期よりは低い水準

離婚件数の年次推移をみると、昭和39年以降毎年増加を続けたが、昭和59年から減少している。平成に入ってから再び増加傾向にあったが、平成14 年の28万9836 組をピークに減少傾向が続いている。

平成27年の離婚件数は、226,198組で増加する結果となった。昨年と比較して4,091組の増加となっている。以下の図は過去の離婚件数の推移を示している。

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(出所:厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)

まとめ:男性のメンタルが心配

前述したとおり、男性の自殺率は女性のそれと比較して2.5倍近くもある。生物学的に女性の方が精神的に強いと言えなくもないが、現代社会においてここまで男性が息詰まっている環境はなんとも悲しい状況だ。

会社からのパワハラや空気の読めない上司の相手、面倒臭い同僚の相手など世の中数え上げたらキリがない。男性にとっても女性にとってもストレスフリーな社会がいつか訪れるのだろうか。少なくとも、ただぼーっと待っているだけで、全員に平等にそのような環境は訪れないのは確かであろう。

<参考文献>
厚生労働省 平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況


地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)


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